ラーメン構造とロジスティクス。コンテナハウスが持つべき構造(専門家向)

ラーメン構造とロジスティクス

海洋輸送用コンテナは20世紀最大の発明の一つであると言われています。ロジスティクスの世界に一大革命をもたらしました。今や当たり前ですが、「コンテナ以前」は輸送船に荷物を積む事そのものから大変な事でした。それがコンテナの登場で極めて効率的に「生産現場」から「消費現場」まで一貫して運べる=倉庫すらかつてほど必要ではなくなりました。ロジスティクス革命です。

その事は「輸送網」を拡充させ、輸送船はバラ積船からコンテナ船に姿を変え、陸上輸送はコンテナトレーラーが作られさらに輸送革命は進みました。このコンテナのおかげで世界中がチェーンロジスティクスで繋がったのです。

さて「コンテナハウス」はこのコンテナを建築物の躯体として使ってはどうかとい発想です。多くの発想は「使わなくなったコンテナのリユース」でした。「勿体無い」という訳です。使い尽くすまで使おうというのはとてもいい事です。しかし「コンテナ」は荷物を格納するための箱として設計されましたので、頑丈ですが、外部からはしっかりと守る「隔離された箱」でした。建築の躯体として使うためにはこれに「入り口」や「光や風を入れる開口部」を作ろうとします。コンテナは実はこの窓もない壁が「構造材」で「壁構造」のようなものです。これを開口して窓や扉を付けようとすると、極端に構造的に弱くなってしまうのです。

建築物であるためには「ラーメン構造」が望ましいのです。どうやら海洋輸送用コンテナでは「建築物」としての強度は期待出来ないようです。また、材料としても日本の建築基準法は満足出来ません。

そこで作られたのが「建築用コンテナ」だったのです。ですから海洋輸送用コンテナと建築用コンテナは構造体の作りが異なるのです。でも「コンテナのロジスティクス性」は残して「建築用コンテナ」は作られました。「建築用コンテナ」は「世界へ繋がるロジスティクスシステムを内包する建築躯体」として「ハイブリッドな子」として誕生したのです。この事は建築物が持ち得なかった「可搬性」という特質を身につけて誕生した事になります。

コンテナ建築の最大の特徴は「世界へ繋がるロジスティクスシステムを内包するハイブリッドな建築躯体」という事なのです。