コーチング_第3章_お店の企画_006_運営の具体的スタイルをイメージする

コーチング_第3章_お店の企画_6/10 運営の具体的スタイルをイメージする(26/100)

C-006.運営の具体的スタイルをイメージする

ハコ(店)はフィジカル(物理的実体)なものですから必ず造ることが出来ます。その先の「運営」が店に命を吹き込んでいきます。その運営の具体的スタイルをイメージしながら店は作りましょう。

昔々は家を建てるとき、すべての設計は「主」に任されました。家長と大工のやりとりで決定されました。女に口を挟む余地はありません。ですから昔の台所は大抵暗い所にあり、使い勝手は実際に炊事をする女の都合など考えられていません。ですが家長は間違っても料理などしませんからその動線はでたらめでした。その積年の恨み炸裂か、最近家を建てる場合に口を出すのは完全に主婦、夫側はおとなしいものです。「書斎があればいいなぁ」という決まり文句を呟いてあとは35年ローンを背負うだけです(笑)たとえ運良く書斎があったとしてもすぐに物置として占領されます。それに設計家としても家が建つまでには何回か夫婦げんかを見なければなりません。それも夫には勝ち目のない喧嘩を・・・。おっと話がずれました。

あなたは店で何かを販売したことがありますか。一度も無いとしたらあれこれ注意しなければなりません。販売は、材料を仕込み、加工調理し、盛りつけるという料理に必要な段取りと使い勝手と動線が重要です。カフェの一日には波があり、通常朝、昼、夕方にラッシュが来ます。朝仕込みの頃、ランチ需要、そして夕食です。その時に客席側のスタッフの動線や使い勝手が悪いと、てきめんオーダーと出品の間にひずみが起き、受注渋滞が起きます。ある程度の事は繁盛の証拠ですが、渋滞はお客にいやがられますし、販売効率も非常に落ちます。入ってきたお客様が渋滞を起こさずオーダーをし、食事をとり、レジをすんなり通って出ていくというパターンは、実はあなたが頭の中で想像しているよりもずっと「うまくいかない」ものです。

百貨店の大型インショップやチェーン展開大手のカフェのような広めの店内なら良いでしょうし、まるでブティックのようなカフェでも良いでしょう。店内スタッフも多いでしょう。でも多分あなたが作るカフェはそうはならない。こじんまりとした店内に厨房が場所をとり、コンベックと台下冷蔵庫が幅を利かせ、ボトルクーラーがどすんと居座り、はっと気づくと客席面積は後これだけ。並べたいディスプレーは沢山あるしどんどんレジ台が押しやられる。そこで「あ!やった、並んだ並んだ、入ってよかったー」ではお話にならないのです。

カフェに発生する一手間は「すべてのお客様に平等にサービスをしなければならない」という点です。吉牛や松屋と違って、販売機で好きなオーダーを買ってもらい、空いてる席に順番に座ってもらい、カウンターの客に挨拶をするでもなく、チケットを取り、厨房にオーダーを入れながら水を出すけど客のカオを見ることもないという事は無いのです。あなたが「カフェをやろう!」と思い立った背景を僕は何となく解っています。お客様とのやりとりのコミュニケーションの中に何かしら感じたものがあることと、食事や食べるものを介して出来上がるあの空間の雰囲気自体があなたは好きなのです。そんな好きなことを自分の店として運営し、オーナーとして街の中に溶け込んでいきたいと思っています。そしてそのカフェはあなたの趣味で出来ている。こんな素敵なカフェのオーナーは実は私です。

そんな事を思っていられるのは、ちょっとした瞬間だけです。でもそれでもあなたはカフェが好き。そんなカフェで多くの客を喜ばせてあげてください。ただし、上手にすべての仕事上の行動が解っていないとますますそんな感覚に浸れる時間はなくなっていきます。イメージトレーニングに近い状態で行動シミュレーションをしながらゾーニングやレイアウトを決めていきましょう。もちろんこれは専門家に手伝ってもらった方が賢明です。

本日のコーチC-001
運営が上手くいくには、新たに創り出す空間のイメージを早くとらえ、イメージトレーニングが出来るくらいレイアウトを考え、構築していくことが必要です。専門家の助けが必要ですが、専門家たちも建築は専門でも、厨房の中の動きまでは知りません。何回も何回もイメージトレーニングしてください。

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