コーチング_第3章_お店の企画_008_ 設備機器の選択(予算との戦い)

C-008.設備機器の選択(予算との戦い)
店の中には特に厨房の中には設備機器が必要になってきます。設備たちも大事なものです。しかし立ち上げ時は多くの買い物があります。「欲しい」という理由だけで揃えていたら予算は膨大に膨らんでいきます。それを押さえる工夫が必要です。

●カフェの業態によってかなり変化のある部分ですが、考えられる業態毎に少し整理をしてお話ししましょう。

1.ブーランジェリーカフェ
冷生地を使ってブーランジェリーカフェをやろうと思っているのならやめた方がいいでしょう。特に個人店でブーランジェリーカフェをやる意味はありません。やるのならきっちりスクラッチで作ったパンで他店との卓越化を計らない限り、そこらのチェーン展開のカフェにすらかないません。
スクラッチを前提に考えれば、焼く量にもよるのですがそれでも販売専門のショップではないのでそこそこの窯とミキサーとドウコンがあれば事足ります。窯も有名店でコンベクションオーブンで焼いている店があります。それで納得できるなら工房が機器で占領されることもなく有利に進められるでしょう。
その他の機器は一般のカフェと同じです。

2.スウィーツカフェ
上記の機器からドウコンを除き、ショーケースを入れた構成になるのが一般的ですが、スウィーツ系においてウエイトが高いのがその「冷蔵ショーケース」です。台の上に置く小さめのショーケースを利用するなどで、格段に予算を小さくすることが出来ます。その他の機器は一般のカフェと同じです。スウィーツカフェの場合「料理」まで出す店は少ないかに思えますが、そこまでやる場合はオーブンを料理用は別にしたほうがいいでしょう。ストーブ下にオーブンが付いたタイプを料理用に使えば解決すると思われます。

3.ドリンクメインカフェ
ドリンク主体のカフェの場合力を入れたいのはやはり「コーヒーマシン」でしょう。事業コンセプトに沿ってその位置付けにあたる機器を入れることになります。まさにコンセプト次第ですがバリスタ的な位置づけならば全自動というようなことではなく、あなたの美味しいコーヒーその他飲み物の世界を表現できる機器を入れるのは優先課題でしょう。

4.料理系カフェ
一般の機器以外には、得意とするものの構成によって少々機器が増えるということになります。比較的コストがかかるのは「オーブン系」ですね。ピッツアを出すとなると一般のオーブンでも出来ますが、やはり300度近い温度まで達することが出来るピッツァオーブンが欲しくなります。「焼き」のほうでもちょっと特殊な機器が欲しくなるケースがありますが、比較的「焼き」系はそれほどコスト高のものはないようなので何とかなるでしょう。

どの場合でも店舗に対する投資額とのバランス感覚が大切になります。可能な、そして押さえておくべき予算の範囲でバランスよく予算配分をし、その範囲を守って店を作り上げていきます。それぞれの具体的予算配分の実例を店舗開発の例を通して後に解説しますので参考にしてください。
機器メーカーなどからの情報も大切ですが、機器屋さんは当然機器を販売することを「業」としていますので、話を聞くと上手な売り込み文句であなた自身も色々な機器を欲しくなると思います。しかし、一般的な機器の範囲、基本構成でスタートしてください。買い足すことは店が上手くさえいけばいつでも出来ます。

絶対に窯はここのこれが使いたいとか、ミキサーはこのタイプでないと嫌だとか。もしくは、今までのお店でそれを使っていたからそれしか扱えないだとか。(あまりそれを言うのはよい職人ではありません。それではあなたはその機器の手下です、機器が開業しあなたがヘルプするのですか?)ですが開業には予算があり、機器にかけられる金額も限度があります。好みの機器を好きなだけ工房に並べて「鉄道模型を部屋に巡らせ悦にいるお父さん」をやるわけでは無いのです。よい機器が並んでいても料理は自動で出来ないし、よい機器を並べることが目標ではありません。機器代にキャパシティ以上のコストを掛けると、それから数十年間あなたは「機器のローン返済」の為だけにカフェを続ける事となります。それは本末転倒です。

本日のコーチC-008
店のスタート時の機器構成は「基本構成」で始めます。機器はあなたを助ける「助手」ですが、それは店がスタートし、方向に間違いない確信が得られ、新たな境地を目指すときの助手です。多くの助手を初めから並べ立て、その支払いにあなたが努力するのは本末転倒です。

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