コーチング_第5章_「店のデザイン」_006_エッジからボトムまでシンクロ 

E-006.エッジからボトムまでシンクロ
店舗のデザインをする時、全体のコーディネートを間違えないでください。ある種のテーマで統一する、あるいはある種のストーリーで統一するなど、シンクロされたデザインが重要です。

「料理」にも色々なスタイルがあるように、デザインにもいろいろなスタイルがあります。あなたが人々に知ってもらいたい空間はどのような思想のどのようなスタイルの空間でしょう。空間が色々なデザイン要素でごちゃごちゃではあなたの見せたい空間の特徴は解りません。シンプルにまとめていきたいのですが、それでも空間の環境にはあなたの思想を応援する要素を持たせたいと考えます。その応援する要素というのが、環境のデザインのチカラなのです。そしてチカラを与えるためにはあなたのカフェ空間との相性が良くなくてはなりません。相性=スタイルの一致です。

店舗のデザインは「カフェビジネス」の中で組み上げるべき多数の事業戦略ポイントの中でも重要な部分です。事業戦略が視覚的に表現されるところのおおよそ90%程度は店舗のデザインとして表現されることになるでしょう。それは「目立つ」事が重要なのではなく、お店のコンセプトを、お店の持つ雰囲気そのものが表現していることがとても重要なのです。それは事業戦略の中で「デザイン戦略」と呼ぶことが出来るでしょう。デザインも実は幅広い世界でありますがそれを整理して考えやすくする方法があります。私はマッピングメソッドと呼んでいます。今回はそのマッピングメソッドを使って「デザイン戦略」の照準を固めていく方法を解説します。

このマップの中で自分のお店はどのあたりを狙っていっているのか、あるいはどこを狙うべきなのかをお店のコンセプトに合わせて決断していけばとるべきデザインのスタイルも明確になっていくのです。
ここで確認して欲しいことは「ある文法=スタイル=考え方をカタチに持たせたものは何らかの方向性を持った有意のインプレッションを見る人に与える効果がある」という事実です。これは、逆にいうとあなたの想いをカタチを通して表出することが可能であることを物語っています。つまりあなたのお店のデザインを十分にコントロールすれば、あなたの想いをお店のデザインに込めることも出来るということです。
カタチを持ったものを創り出す「料理人」ですから比較的その意味合いは分かっていただけるでしょう。出来上がった料理はそのビジュアルで伝わってくるものが違いますよね。それらはその見えがかりの裏に張り付いたコトバがある(素材や色や形が持つ特性等々)ということとほぼ同じ事をいっています。

お店の戦略に合わせたパターンの取り方が重要になりますが、それに対する指標をわかりやすくする方法があります。次ページに示す「マッピングメソッド」と私が呼んでいる方法ですが、下図1の中のどのあたりのお店を狙っているのかを図の中にプロットしていき、そして図2の中でそれに対応するターゲットのライフスタイルがシンクロしているかどうかを確認しながらデザインの方向性を決定していくのです。商業施設の場合自分の趣味で店舗のデザインを決定していくのは、ひとつ間違いやすい決断の方法といえるでしょう。あくまで事業戦略に乗っ取った考え方が必要といえます。

●マッピングメソッドでカテゴライズした店舗デザイン
下の表は一般的に認知されているパン屋さんのshopを思い出しながらそれらを「プレスティッジ性」-「ローコスト性」;「こだわり性」ー「普通っぽさ」を軸として表現しカテゴライズしてみました。これらのショップの戦略のあり方と、生活者達のライフスタイルにはある程度の相関があります。そのライフスタイルには「希望」も含めて、あるデザインスタイルと重なる部分も多いのです。それゆえ、照準を合わせる生活者とあなたのお店のデザイン傾向を「少しだけ突出した状態でほぼシンクロさせる」事が一般的にはミスマッチを起こさない方法です。

本日のコーチE-006

mapping

建築を計画するとき、はっきりと認識したほうが計画がやりやすいと思われる概念があります。日常的に使われる言葉になっていますが「ライフスタイル」という言葉と、建築やインテリアなどのデザインのテイストやスタイルの関係性を考える概念です。この二つの概念を結びつける考え方をここで考えます。 「ライフスタイル」という言葉そのものが示しているように、人にはそれぞれの「文化」があって日々の生活の中での行動にある種の「スタイル」が現れます。世間ではよく「趣味」という言い方で表されたりします。この「趣味」というのは、基本的には普段は自分の事を考えていれば済むので、あまり人との差異を考えることはないのですが、人と話すととたんに解るように、結構大きな開きがあります。人の趣味や宗教に口出しする気はありませんが、例えば仕事として「アパレル」をやっていこうという考えがあるのなら、お客様となる生活者はもちろん、それよりもまず自分の事をよく知って、自分が創り出していく自分の趣味の「オーダー(ありかた)」の方向性について明確な認識を持つことが必要になります。 下の表は「プテスティッジ性」-「ローコスト性」;「こだわり性」ー「ノーマルさ」を軸として表現し、人のライフスタイルを当社なりにカテゴライズしてみました。生活者達のライフスタイルをある言葉を借りてカテゴライズしたわけです。たまたまその言葉でカテゴライズしているだけで、言葉を変えると区切り方も変わってくるでしょうし、人はある一定の人格だけで生きてるわけでもないので、完全に分けられるものでもありません。何となくそんな方向性をもっているなあ。という感じでしょう。それでも、下の表のようなものを作るとそれはそれで人が結構見えてくるものです。 占い師になろうというわけではないですから、こんな事をいつも考えながら生きていく必要はありません。ただ、あなたが自分の建築を計画する段階で、自分の立ち位置と、人々との相関関係を知りつつ計画していくことによって事業的戦略がとても立てやすくなるのです。ショップを事業的に立ち上げるということは、自分の趣味に合うお客様だけに来て欲しいという願いは解りますが、それだけではなかなか経営的に成り立ちません。だからといって、「どなたでもどうぞ」という造りでは基本的に「ブランディング」という作り出すべきイメージが作れません。結果的には誰も興味を持たない空間になるのが実体です。ある照準を中心に、ボリュームゾーンを排除しない形で明確なスタイルを打ち出すということになるのが経営的には正解ですが難しいことではあります。 ライフスタイルとデザインのスタイルをシンクロさせて計画する事を勧めているのですが、おわかりでしょうか?そのためにいろいろなライフスタイルについてある表現を試みました。これらの人々が好むデザインの傾向を知ることによって事業は格段に進めやすくなります。 ※「マッピングメソッド」という呼び方も、「各カテゴリー名称」もarchimetal.jpがつけたオリジナル名称ですので、日本全国で通じる言い方ではありませんので念のため。

●cheap stage チープステージ:貧乏ステージというわけではありません。例えば100円ショップのモノを見て歩くとなんだか「えっ!これがひゃくえん?」と思うようなそういったバリュー感覚に価値を見いだすライフスタイル。ただし添加物だとか材料の履歴などそんな事は関係ない。「やすいがイチバン」のライフスタイル。

●retro stage レトロステージ:いつの間にか、遠い彼方のヒトになっていてもぜーんぜん気にならない。ある意味世捨て人。新しいものの感性や、流れなど気にならないし、それらの評価基準さえもない。おーい!どこにいるの?って感じの生き方。もちろん別に悪い訳じゃない。でも新しいものにいいものもいっぱいあるよっていっても耳貸さないですね。

●normal stage ノーマルステージ:なんというか、「フツー」の人。フツーの生き方。フツーの感性。でも「中庸」とは全く違う種類。特段変なわけじゃないが、フツー以外の事はこの方には別の世界に見えるので興味を示さない。

●populer stage ポピュラーステージ:ノーマルステージのライフスタイルに、「これはなかなかいいね」感覚が備わったライフスタイルパターン。こちらのほうがコトバとしては「普通」感覚で、フツーとはちょっと違う。ある程度「群」から離れようかなあという意識があるライフスタイルで、そのチェック意識も存在する。

●simple stage シンプルステージ:シンプルイズベスト感覚。余計なものをまとうことをいやがるライフスタイル。ちょっと昔の「無印良品」的ライフスタイルといえるでしょう。最近でいうとユニクロの方が近いかも知れない。

●casual stage カジュアルステージ:「軽いノリ」が好き。フォーマルな感覚って分からない。っていうか~、イヤ。大体そんな中身でもないくせになによすましちゃってさ、カジュアルが一番よ。だって身軽、走れる、飛べる、はねられる。そんな自由さが私に似合ってるのだぴょ~ん。って感じの明るい方々です。

●social stage ソーシャルステージ:人との関係の中で中庸を選ぶ生き方のことの名称として使いました。基本的に社交好き。だから出来れば人とぶつかることは避けたい。そんな私が選ぶのは決して目立つこともなく、でも「違いが分かる利口さ」を合わせ持った生き方。そんな私は社交好き。どんな話題にでもついていける気がする・・・気がする。気がしてるだけ・・・。

●authentic stage オーセンティックステージ:何でも鵜呑みにすることはない賢さを持ち、自分の価値基準を持って生きていく。誰かに何かを問われれば自分の意見が言える。それも受け売りではなく消化された自分の意見。そんな私は食べるものにもうるさいの。でもグルメ道をいく訳じゃない。そんな人間の欲望のコントロールができなくてどうするの?という生き方のことです。

●traditional stage トラディショナルステージ:「時の洗礼のチカラ」を最も信じる生き方。伝統的なものは生き残ってきたすばらしいもの。その歴史の長さがそのものの良さを証明しているじゃないか・・・。その歴史の延長線が好き、その学校の歴史、そのスポーツの伝統、先輩と後輩の関係。そんな事を守りながら生きていくことがとても大切だというライフスタイル。

●eccentric stage エキセントリックステージ:風変わりな事が自分にとって大事な生き方。人と同じはイヤよ。何か違うことをして目立つのもいいわ。正統派の中で群れているなんてとてもじゃないけど出来ないわ。って感じです。アイデンティティーの成立のためにあえて「人と違った道を選ぶ」そんなライフスタイル。

●artistic stage アーティスティックステージ:「芸術家的生き方」を旨とする。まあどういうことかよく分かりませんが、世間の経済システムだとか、社会的関係だとかそんなのは自分の興味の範疇ではない。私は口の中がこのクープで切れてしまいそうな、そり立ったクープのバゲットだけが好き。他のパンはパンじゃないよ。だって昨日は満月だったし、僕の気持ちは荒れているのさ・・・(嘘)なんかそんな感じの芸術肌とでも申しましょう。

●attack stage そうさ、これがパンなんだ。こっちはパンじゃない!!一体何を考えてるんだ。こんなパン投げ捨ててやる。それに比べてこのパンのなんと愛おしいこと。いったいどうやってつくっているんだろう。なっ何をするんだ!このパンをそんな皿に置いちゃだめだ!。てな感じが一時が万事、生活全般にわたる。それが一貫してればいいのですが、そうやって騒ぐ事が好き、だからいうことが日々違う。でも本人はそういうつもりじゃない。本当にその時はそう思っているのです。

●executive stage エグゼクティブステージ:多くの経験をし、知識を持った中で「私はこう思う」という経験則と知恵から発する類い希な説得力を持ち、決して奢らず、回りの者もその人を自然に信じている。でもちょっとだけ鼻につくその雰囲気・・・やはり自分に相当惚れてるタイプの方々なのです。

●broadband stage ブロードバンドステージ:私としてははじめて使う新ジャンル名。エグゼクティブステージの進化型と解釈される。時代の変化を読みとり、ものによっては「これで充分」「これでなきゃだめ」の使い分けがきわめて高偏差値的。ブランド品はイヤじゃなく、結構信じているけど、そうでないものの中から光るものを見つける努力もし、見抜くチカラも持っている。生きる基準の指標が柔軟で幅を持ちダイナミックレンジが大きい。