コーチング_第5章_「店のデザイン」_001_ 「山小屋風」なんてもうやめよ

E-001.「山小屋風」なんてもうやめよう(爆)
いや、どうしてもというならいいけど(爆)、山小屋風はどうもよく解りません。言いたいことは「コンセプト」に明確に合わせたデザイン戦略が必要で、趣味で作るわけではありません。趣味はご自分の自宅に反映させてください。

●最近の若い人たちで、カフェなどを開業したいという方々はインテリアの知識はデザイン系の勉強をしている訳でもないのに随分それなりに知識は増えて来ました。多分その原因は色々な雑誌でインテリア小物から始まり、様々なデザイン的知識を紹介した記事などが増え始めたことが一因でしょう。それに加え団塊の世代ジュニアたちが活躍する時代になって、やはり育った環境がかつてに比べ格段そのような「デザイン」されたものに接する機会が増えてきたのもその原因でしょう。とても嬉しいことだと思います。しかしながら、デザインの時代にはなってきたけれど、まだまだ「デザイナーの時代」ではないという事が出来ます。

そんな要素もあるけれど、それは明るい兆しに関する話で、まだまだデザインに関する認識は低いし、人々は語るコトバを持ってはいません。開業の相談を受け、「で?店舗デザインの希望としてはどんな風にお考えですか」と訪ねると、ここ数年来ダントツ一位は「南仏風」という答えでした。

南仏・・・、それも「風」。 南仏風ってどういうイメージですか? とっても漠然としていますねそれ。「日本風」と聞いたフランス人が「芸者?富士山?腹切り?」と冗談抜きで言うのと同じぐらい漠然としておまけにきっと間違っているでしょう。というかその南仏とやらに行ったことあるのですか? 何故あなたのカフェは、ブーランジェリーは南仏風なのですか? 何処で仕入れた漠然としたイメージですか?

次にブーランジェリーの場合多いのが「やっぱりパンを並べるのだから木のぬくもりをいっぱい感じるログハウス風。」 ・・・なぜパンだと木なのですか? 米だと鉄でパスタだとブロック? やっぱりってどこから来る発想ですか?いや別にどちらも悪いとは申しませんが、安易な横並びでのデザイン感がきつく、「あそこで見たあんな感じ、そう南仏風・・」「小さいときにみたアルプスのハイジのような・・・」では、子供が「僕は将来パイロット!」「あたしは絶対ケーキ屋さん」程度の思いしか伝わってきません。そんな事が聞きたいわけではないし、そんな程度のイメージでは建てたところで「あぁ・・またよく似た感じのお店ができたわね」という印象しか与えません。 あなたの頭に浮かんだ「ぼんやり南仏風」はお客様側から見ても「なんとなく南仏風な店の一つ」としか写りません。

そんなおおざっぱなイメージなら、どうか別の所に開業相談なさってください。ありきたりのフランチャイズのようなお店を作り、入り口にテラコッタのタイルでもならべオリーブの鉢植えをいくつか並べて「はい、南仏風一丁上がり」と仕上げてくれるでしょう。突飛な人が思いつかないようなデザインにしろとか、最先端を行けとか言っているのではありません。猫ならタマ、犬ならポチ、パン屋なら南仏風ってな貧相な発想から始めてはいけないということです。もちろん「筋金入りの熱愛南仏デザイン!」というのなら良いでしょう。 せっかくあなたのあなた自身のお店を立ち上げるのに、最初から「どこどこ風」にしなくても良いと強く思います。

デザインのイメージはあなたが売るフードや、カフェの事業コンセプトにシンクロさせますが、商品である空間と提供物が引き立つデザインにするべきなのは当然で、埋没させてはいけません。カフェの場合は、その空間のコンセプトに合わせてデザインコードを決めていきます。多くの場合イメージの連動で「癒し」ー「自然」ー「自然素材」ー「木・土」という連動は出来ますし、「カフェ」ー「フランス」ー「明るさ」ー「プロヴァンス」という連動イメージもわかります。でもよく考えてご覧なさい。誰もがそう考えるしその思考の回路には「自分」が含まれていないではないですか!あなたが作るカフェはわざわざ独立してまで作るカフェはあなたのカフェなのです。自分を出していくためのボキャブラリーを含んだデザインにしていきましょう。
南仏風やログハウス風は、ご自宅を建てるときに趣味の世界としてお作りになったらどうでしょうか?私は商業施設は趣味ではなく「戦略」でデザインすべきだと信じています。あなたの事業戦略を固めることこそデザイン戦略も確定していけるのです。

本日のコーチE-001
デザイン意識をもっと持って本当にセンスのいいカフェにしたいと思いませんか?

008
mapping