コーチング_第4章_オープン後のチェック_002_毎日が実験、でも毎日が本番です

D-002.毎日が実験、でも毎日が本番です
独立店舗では「商品開発研究所」を持つわけにはいきません。つまり毎日の営業の中で商品の開発や改良を行うしかありません。そういう意味では実験も営業の中で本番で行われることになります。上手な開発方法を見つけましょう。

というわけで、予定は未定であり、その通り行くはずも無いのです。かといって完璧な計画をしシュミレーションをし研究に研究を重ねていては、あなたはいつまでも開業出来ずそのうち老人になってしまいます。シュミレーションはあくまでシュミレーション、机上の論理ですので、水に入ったことのない人が陸上でいかにバタフライの練習を重ね正しいフォームを身につけようと、さぁ荒波に生まれて初めて飛び込んでバタフライで泳いでいけるかというと無理なんですね。一呼吸目で塩水をしこたま飲みむせかえるのが目に見えます。

ではどうすべきか。道楽で「失敗したらしたでいいやー」というのではなく「今月これだけ売り上げあげないと家族の誰もご飯が食べられない、子供の給食費が払えない」のですから(いや、まぢですからね)、日々本番を過ごしながら柔軟性を保ち実験し続けるしか無いのです。これでは駄目だとわかっても何も行動に移れない頭の固い人や、最初に決めたやり方に固執する頑固者は、そのまま閉店していくしか無いのです。開業したら自分で修正し進んで行かない限り、おぼれ死にそうでも誰も助けてくれないのです。

つまり開業・経営に必要なのは「確固としたとした理念」と「柔軟性」です、その二つは相反するように見えて、実際はまさに経営の要なのです。「腰砕けの理念」と「いいやいいやのその場しのぎ」とは違うのです。譲れないところは断固譲らない!でも経営上宜しくない部分は「良質の柔軟性」を以て方向修正しつつ進む、それが経営者です。あなたはもうただのシェフではなく経営者なのですから「職人気質」な事ばかり言っていても仕方がないし、かといって職人魂を売り渡してもいけない。簡単に売り渡すならどこかの大手飲食店で働く方がよい、多分倒産しないし固定給が手に入る。

「そんなメニューは出せない」「こんな風には変えたくない」「こんなのが売れてもうれしくない」などと言うのはケツの穴の小さな職人です。どんなメニューでも出すことが出来(出来ない職人に限って御託が多い)、お客様が欲しいものも並べつつ、あくまで自分が本当にこの自分の店で出したいメニューは「これである!」という所は譲らない。どこか目的地に行くのに、角も曲がらず道路にも沿わずまっすぐ行こうとするのではなく、目的地すら見据えていれば道草も立ち寄りも休憩も苦でないはずです。迷子になってはいけない、目的地がわからなくなってはいけない、でもまっすぐばく進するだけが道ではない。短期決戦ではなく、あなたが多分一生やっていく仕事なのだから、軌道修正しつつ日々毎日本番で行くしかないのです。

「じゃこれならどうだ」「こんな風にしてみたらどうだろう」「しばらくこうだったからこうしてみよう」と常にカードを切り続ける。それはただ単にお客に飽きられないように毎月新作のメニューを並べるなどという単純な話ではない。そんな事をして何百種類もメニューを増やして行くことが解決法ではない。なにより自分自身が漫然と習慣性で仕事をしない事だ。ただ料理を出すために雇われた人間ではないのだから、自分の店なのだから。ただ料理を出すしか出来ないのでは必ず失敗する。自分の店を常にプロデュースし続けるのだ。

日々第三者の目でもって自分の店を眺めつつ、試し、うって出、新陳代謝し続けるのだ。
太った裸の王様のように、気づいているのに気づかない振りをしていても、誰も「裸ですよ」とは教えてくれない。そしてはだかの間抜けな店にはお客は近寄らない、ただ『なんか服くらい着たら?』と素通りしながら思うだけだ。

本日のコーチD-002
上記は「負の方向の結果」に対する行動指針のように見えますが、その逆のいい結果に対しても行っていくべき話ですから、その辺はお間違えなく。

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