コーチング_第4章_オープン後のチェック_006_ プロの自信は芽生えましたか?

D-006.プロの自信は芽生えましたか?
オープンして2~3ヶ月もすれば日常の仕事はこなれてきます。不安もどこかにあったオープン前と違ってプロに自信は芽生えてきたでしょうか?そのプロの自信が芽生えてから出来る事があります。

今まで手がけた内のあるお店なのですがパン屋さんです。将来的にはブーランジェリーカフェにする予定でとりあえずパンの販売からという事で、開業してもう2~3年経つでしょうか、その間ずっと自分のホームページの「店長の言葉」の所や「BBS」の所に同じ事ばかり書き続けている人が居ます。
こんなんじゃ駄目だ。パンは沢山残るしスタッフは辞めるし。やはり私はパン屋になるのなんて無理だったのかも知れない。どこどこのお店のようになりたい。またそこのお店に教わりに行きます、勉強してきます。やっぱりあのお店は良い、あんな風になりたい。またスタッフが辞めてしまう。でも新しく入れたスタッフもすぐ辞めそうだ。悲しい事や切ない事ばかり。でも…仕方ない、なるようにしかならない焼いたら残り、減らしたらすぐ無くなってしまう。
見るたび思います。・・・そんな自信の無い店のパンなんか買いたくないと。自ら「自信のないパン職人が焼く自信のない中途半端なパンです」といっているのとどう違うのでしょう。たとえどうあれこんな事書くことは失格です。これこそが「プロの自信に欠ける趣味開業」です。

これほどお客様に対して失礼な事があるでしょうか。こんな事を考えそしてサイトにあからさまに書いておきながら、パンに値段を付けて売るというのはどういう事でしょうか。「あんな風なパン屋になりたい」と余所のことを言い続ける所のパンをお金を出してまで買いたいでしょうか。それならそのあこがれのお店のパンを卸販売すればいい。それを自信を持って「私のお薦めパンです!」と売る方が誠意がある。そんな戯言を表に出すのは非常におかしいし、プロ意識に欠ける。見るたび悲しくなる。

「俺のこのパンを食べてみろ」「俺のパンが一番だ」ぐらいの自信がないなら開業なんかするべきじゃないのです。まず自分自身がそう思わないなら誰が思ってくれるでしょう。ではその自信を何処で形成すればよいのでしょう。たいていの人は生まれて初めての開業でしょう。(今までいろいろな商売を開業してきた、というのはそれはそれで不安材料です、どれも続かなかったということですから。)初めてですから自信に満ちあふれているはずがありません。不安でいっぱいでしょう。本当に開業してうまくいくだろうか、利益がきちんと得られるだろうか、お客様に受け入れてもらえるか、毎日美味しい理想のパンが焼けるだろうか、スタッフは根付くだろうか、心配はつきないでしょう。でもあなたは趣味や道楽で開業するのではなく、プロとして開業するのです、そのために長くきちんと修業しスキルを磨いてきたでしょう。そして「このパンなら絶対に売れる!」と思ったから開業するのでしょう?

まさかもう長いこと下で働いてきたからそろそろ独立したいとか、だいたい資金のめどがついたし開業するか、などが先ではないでしょうね。何より大事なのは頭金の額でも修業年数でもなく、「己の己のパンに対する自信」と「確立した技術」です。人がどういおうと「俺のパンが一番好き!」「俺のパンが一番美味しい!」「俺のパンは素晴らしい!」と思わないなら開業しないでください。そこが揺らぐと開業した途端迷子になります。「こんなパンじゃ駄目なのかな?」「もっと違う感じのパンじゃないとうれないのかな?」「あんなパンを並べないと駄目なのかな」と、いつの間にかお店はあなたのパン屋ではなく、お客の望みばかりを不安に追いかけおどおどと提供する後手後手の店となります。あなたがお客に「こんなパンはどうだ!」「ほら!こんなのを食べてみて!」「こんなパンがあるんだよ!」と提案し街や消費者を先導していくのが大事なのに、「これでいい?」「こんなんがいい?」とお伺いを立てるばかりです。 つまんねー。

数人の凄腕職人たちは経験も長く最初から余裕綽々で開業していきましたが、通常最初から自信満々の開業というのは滅多にありません。それでいいのです。ただ「揺らいではいけない自信」だけは持っていないといけない。うまく開業出来るかではなく、「俺のパンに対する自信」「確立した技術への自信」です。あとの不安はおいおい解消出来ます、あなたが本気なら。本当です。でも自分のパンに自信がなく技術も不安なら、それは開業後の補填では間に合わない。
それらは開業してからあわてて身につけるものではないのです。

本日のコーチD-006
パン屋さんの話になりましたが、もちろんカフェでも全く同じです。

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