コーチング_第4章_オープン後のチェック_004_ スタッフ不足は一生付きまとうぞ

D-004.スタッフ不足は一生付きまとうぞ
スタッフは優秀な人間を手に入れたい。でも優秀な人間はやがて独立するなどして去っていきます。出来ない人間は出来ないまま去っていきます。スタッフではずっと悩み続けるでしょう。

あなたは素晴らしい腕で料理も作る。愛想も良く腰も低くでも自信にあふれている、店の設計も素晴らしく、とても心地のよいお店ができあがった。新商品も思った通り、いやそれ以上。これなら絶対にお客様も喜ぶ、大丈夫だ!  という場合でも、全くだめな場合があります。

それは人の問題です。 本当なら自分が前に出て自慢のカフェメシのを説明したいでしょう、「これはこんな風に食べると美味しいです、これはこんなお料理と合わせると美味しいですよ、本当に買いに来てくださってありがとうございます、今後もよろしくお願いいたしますっ!!」(そんなこと思えなくなったらすぐさま閉店してくださいね) そう思っていてもあなたは厨房にいなければならない。そうそう表にばかり居る訳にはいかない。 そしてお客様と日々多く接するのはいかんせん「スタッフ」となります。スタッフが店の顔となってしまいます(それは是非回避してください。顔はあなたであり続けてください、詳しくは別項にて)。

そこでスタッフが「え、どれも美味しいですよ」だの「それは時間がかかります」だの愛想のない受け答えをし、あーめんどくさいという風に対応していては、どんなに料理が美味しくても店が素晴らしくても駄目なのです。「なんだか感じ悪い」と思って食べる料理は断然美味しくなく感じるし、たとえ客の友達が「うん、割と美味しい」と言っても客は必ず「でもすっごいスタッフが感じ悪いからあんまり行きたくないわ」というのです。奥様同士で「あぁあそこのカフェ、まぁまぁ美味しいけどスタッフがすっごい無愛想で」となります。あなたの美味しい料理をまずいトッピングで飾ってくれます。

それ以外にも基本的に「働きたくないスタッフ」というのがいます。時間分だけこなしたい、言われた事だけやればいいと思っていて、次何をやるべきか、今あいてる時間に何をやるか、を全く考えつかない人です。「これやって」といわれた事はのろのろとこなすけれど、それが出来たらまたぼんやり漫然と過ごし「何やればいいんですか?」と永遠に言い続ける。これはとてもつらいです。毎日毎日指示するぐらいなら自分でやった方が手っ取り早いっ!という泥沼にはまりかねません。

誤解を恐れず言うならば、「料理職人は人を採用する能力にはあまり長けていない」。偽物の熱意(ずっと長い間是非ここで働きたかったんです。がんばりますっ!本当に理想のお店です!)にころっとだまされ(笑)、そういう人に限って3ヶ月ほどで「フランスに前から行きたかったので・・」などとすっとぼけた事を言ってやめていきます。もちろんもしかするとスタッフが続かないのはあなた側に問題があるのかも知れませんが、なんにせよスタッフの問題はまさに一生ついて回ります。やっと物事の分かったスタッフたちがそろい、育ってきた・・と思ったら、そのスタッフたちは巣立っていきます。これは当然です。あなたの嫁でも家族でもないので、あなたのお店が最終地ではないのです、あくまで通過点なのです。そしてまた人材探しとなります。いちから教え直しとなります。

採用時によく見極め、要領のいい人間と本気で働いている人間をきちんと区別し、良い人材は少しずつでも昇給してあげる。どんなにがんばってくれるスタッフでも「あなたのお店の為に身を呈しますっ!」とは思わないのです。正しい対価をもらえてこそ、徐々に昇給し認められてこそ、必要とされていると実感してこそ、がんばり続けてくれるのです。金もケチり文句だけ言いそれでレジでにっこり愛想良く笑えといっても「他人」ですからそれは無理です、あなたに何の恩義もありませんから。人と材料をケチるカフェに将来はありません。

うちは嫁と実家の母親に手伝ってもらうから大丈夫、と思っているそこのあなた!甘いです。その三ちゃん農業(爆笑)のような「三ちゃんカフェ」にはそれなりの苦労がついて回ります。人件費的には確かに格安でしょう、母親にはお小遣い程度払っておけば「あたしも惚けないし体力増強にもいいわ」など最初は言ってくれるかも知れませんが、母親にも人生がありいつまでも手伝うとは限らないし、徐々に年をとっていきます。いずれスタッフを雇う時が来るでしょう。嫁の場合は「カフェがすごく好きであなたの開業にも大賛成!あたしも二人三脚よ!」ならばまだましですが、どんなできの良くないスタッフよりも「カフェなんかやってられない、最悪だわと思っている嫁」ほど最強の敵は存在しません、まぢです。やらされていると思っているので無愛想で言葉もきつく、「カフェを愛していないカフェの嫁」というのはお客にすぐ伝わります。お客の子供がデイスプレーに触りそうになったとき、嫁が発する「汚いから触らないでくださいね!」という一言で「やな店ね」と烙印を押してもらえます。そんな嫁とけんかした翌日は、潔く休暇を与えて休ませませよう。害あって利なしです。

とりあえず人の問題は一生の問題です。覚悟しておきましょう。かなり頻繁に悩みます。

本日のコーチD-004
データでは飲食系のスタッフのある職場への就労期間の平均は3ヶ月程度です。覚悟してかかりましょう。即戦力しか預からない。

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