コンテナハウスバイブル_002_じゃ構造体はどうなってるの?(専門家向)

コンテナハウスバイブル_002_じゃ構造体はどうなってるの?(専門家向)

構造体の設計は建築基準法に合うものでしたら大丈夫です。ただし、コンテナ船で運んでもらうための「コンテナ」としての要件も同時に満たさねばなりません。
その部分がキモなのですが、コンテナにはCSC認証と呼ばれる認証システムがあります。
 CSCとはThe International Convention for Safe Containersの略で日本語では「安全なコンテナに関する国際条約」と訳されています。CSCは国際運送に使用される新造コンテナ及び現存コンテナについて適用され、CSCの定める仕様に合致するコンテナにはCSCプレートが取り付けられています。

CSC認証のプレート

現在、「コンテナハウス」系のコンテナはCSC認証が取れるようにすると、「アンカー」の部分や「上下の繋ぎ」の部分のプレートなどのディテールが煩雑になり、なかなか建築基準法とコンテナのCSC認証を両立する事は難しく、船会社にもよりますが、CSC認証は取れていないけれども、比較的コンテナ的な仕口で、建築基準法を満足しているディティールでも積載してくれるかどうかの判断を仰ぎ、OKを取って輸送してもらう事になります。しかしながら近年CSC認証が取れていないコンテナ(建築用コンテナ)を積載してくれない輸送会社も増えており、CSC 認証が取れて、建築基準法も満足する柱脚のデザインの開発が急務になって来ております。今の所、日本の建築基準法を優先したカタチで作られている「柱脚」のデザインを、CSC認証も通せる形を開発することが重要になって来ます。CSC認証を通すには、指定検査機関での検査を有料で受け、通さなければなりません。意味合いの違う用途におけるダブルの認証をクリアさせるという事はなかなか大変なのですが今後その課題は迫ってくると言っても間違いではないでしょう。

四号建築の範囲であればアンカー部分だけになるので、その仕口の開発は終わっていますが、「普通建築」の場合、柱脚と2階などの上のユニットとの緊結はなかなか一筋縄では行きません。過渡的な方法として既に構造的にはクリアさせる方法は完成させてありますが、「過渡的」というのは、少し「モデュール」の部分の約束事が変則的になるので「完成度」に少し欠ける感じがしています。

日本で製造する場合、普通にグレードを持った工場に発注し、輸送出来る状態の寸法で制作すればいいので、さほど難しい事はありません。日本には「海洋輸送用コンテナ」を作っているファブはもう存在しませんので、普通に設計図書を描いて鉄工所に作って貰う事になります。

デザイン的あるいは視覚的に「コンテナである必要がない場合」はそれで問題はありません。コンテナ建築の要素の一つに「コンテナで建築が作られている」というビジュアル要素も大切であるなら、あるいは「コスト」面でも国産よりも有利な方法を考えるのであれば、海外のグレードを持ったコンテナ工場に制作を依頼するのが最も理に叶っています。しかしながら上記のような問題も孕んでいるという事になります。

材料面でもJIS鋼材を確実に手に入れるルートを確保する事が必要になります。日曜大工的に自分の勉強部屋を作るのではなく、「業」として製作を考えるのであれば必要な作業になります。

要約すると、日本の建築事情の場合
1.建築基準法をクリアする構造体としての計画をする。
2.建築基準法をクリアする製造環境で、またクリアする「材料」を調達して製造する
3.コンテナ船に積載してくれる仕口で柱脚柱頭をデザインする

という事が重要な要件となります。ヒントはここまでです。その内容は設計家はご自分でお考えください。