コーチング_第3章_お店の企画_4/10 資金調達の実際を考える
C-004.資金調達の実際を考える
一般的な資金調達方法は個人経営の場合(立ち上げ時に法人にする場合も含め)、日本政策金融公庫の融資を使うことが一般的です。あるいはまれに地域の信用金庫などが相談に乗ってくれるケースもあります。自治体の制度融資も利用する価値があります。
さて資金調達というシーンは今までの人生の中になかったわけで、かつ今後もない場合がほとんどです。どんな風に調達するのでしょう。
普通の人生を歩んできたなら公的資金の借り入れが一般的には可能です。一流企業に勤めている必要などはありませんが、一般的に飲食系の関連の会社、あるいは個人店舗でも構いません。ちゃんと歴史を積み上げてきたならば大丈夫です。あなたのスキルに貸しましょうということになりますから、今勤めている会社が立派だというようなこととは無関係です。事実貸すときにはどんな立派な会社でも辞めているので関係ありません。あまり異業種に長く、製パン学校にかよって突然の開業というのは少々いぶかしがられるケースもありますが、貸してくれるケースもあります。とりあえず公的資金に関しては貸すための努力は払ってくれます。都市銀行などは相手にもしてくれませんので付き合う意味はありません。信用金庫などには開業を思い立ったその日からでも積立預金などするといいでしょう。頼るべきは身近な友達よりも信用金庫でしょう。
無理な計画はいけません。数字のシミュレーションをやるとわかりますが、一日の売り上げを設定するとき5万円だとか、8万円だとかエクセルを使えば色々な設定をすると、売り上げを入れればその他の数字も連動して結果を表示してくれます。それが面白いのです。いろいろ遊んでみると、売上と経費の関係、手取りとの関係、何が経営を圧迫するかなどがよくわかってきます。一日の売り上げが3万円だと赤字で4万5千円で黒字、8万円になると今までもらったことのないような数字が毎月残る。という風に数字のお遊びが出来ます。20万円の売り上げを一月続けたらどうなるでしょう。すぐにポルシェに手が届きます。あはは、心配しないでください。そう簡単にうまくは運びません。8万円の売り上げを3人体制の設備投資2000万で作った店舗で実現したとしましょう。ポルシェは数年後に買えますが、実は8万円の売り上げを一年を通して、雨の日も雪の日も、かんかん照りの夏の日も平均的に売ると言うことは実はとても難しいのです。
どこぞのスターバックスが一日売り上げを200万上げると言います。実は瞬間風速であって平均して売っているとするならば凄いのですが、なかなかそうはいきません。大きな数字の記憶は残りますが悪い日の記憶はあまり残りません。結果として平均すると「こんなものだったっけ?」という月の記録になります。人間いいことは記憶に残り、悪いことは記憶に残り辛く出来ているのです。それは生きていく上で非常に大事な機能なのですが、こと経営に関してはあまりいい結果を残さないので「悪い日をどうするか」という命題はいつも脳裡に置くべきでしょう。
総事業費を2000万円くらいでという計算を以前やりました。自己資金をこつこつ貯めてきたこともあり、貯金と親からの支援で1000万の現金が準備できたとしましょう。では残り1000万を公的資金で借りれば足りる事になります。では1000万の借り入れ申し込みを書きましょうということになりますが、それは例えば1200万にしてください。出来るだけ借り入れは少なくしましょうという基本は何も変わりませんが、必要な資金より多い目の借り入れ申し込みをしてください。借りられたらそれを予算に回すのではなく、超過した部分の自己資金をまた貯金しておいてください。借り入れをして貯蓄を残しておく。ちょっと矛盾しているようですがこれがとても大事なのです。使うためではありません。あくまで事業予算通りにプロジェクトは進めていきますが、ここでは200万の勝負金を残しておいてください。という意味です。
私が開業を面倒見た中で私の言うことを聞かなかったただ一人(この場所ではムリですとはっきり申し上げましたがそれでもやるというので借りられたお金が残るようにリーズナブルな企画を出し、いざというときにショップだけでもいい立地の場所に出そうと提案しましたが、結局そのお金も機械に使ってしまわれました。順番違うでしょう。なぜ言うこと聞かないのかわかりません・・・)その方を除いて全ての方が事業はうまくいっていますが、例えば開業時に200万の勝負金が残っていると、精神的に随分違うのです。予想が、いい方向にずれるのは構わないのですが、悪い方向にずれた場合の修正に少々資金を必要とする場合があります。悪い方向にずれた場合には売り上げが予想を下回ってるわけですから売り上げ金から処置を施すことは出来ないはずです。又借りればいいと言うかも知れませんが実績が予想を下回っている事業に金融機関が融資をするわけがありません。実績も今から付けなければならないのですから・・・。もしそんなことがあった時のために資金を備蓄していたいのです。
赤字は予想以上に事業にダメージを与えます。決して出してはいけないものなのです。足りないものは補填しなければなりません。たとえば20万の赤字を月に出したとしましょう。20万の補填は純利益の中から補填しなければなりません。20万の純利益のビジネススケールは売り上げで言えば400万の売り上げにも匹敵するでしょう。補填するのに順調にビジネスが戻っていて2ヶ月以上かかるようなスケールです。2~3ヶ月も続いた時にはもうかなりむしばんでいます。
そんな時にやるべきコストダウンはやるとしても、商品のレベルを落とすわけには行かないのです。戦略の変更をすぐに試みるべきでしょう。マイナーな変更から始めるということで構わないと思いますがここで勝負金を持っていると積極的に戦っていけると考えられるからです。