コーチング_第5章_「店のデザイン」_002_ 客をその気にさせる空間構成

E-002.客をその気にさせる空間構成
カフェというコトバが一人歩きして、どのような業態でも「人を癒してくれる空間・時間」の事を「カフェ」と言っているようです。であれば、提供商品だけではなく、その空間デザインやサービスなど複合的に要求されることになります。

開業で陥りやすい間違いは、「本当に演出すべきもの」を見失ってしまうことです。最初にはっきり言っておきますと、店舗設計はあなたの「自宅建築」とは全く違うのです。あなたが夢のマイホームを持つのだとしたら、もうそれは思う通りに好きにすればいい。ずっとあこがれていたデザインや装飾を思う存分てんこもりにすればよい。そこに住むのはあなただし、あなたが好きなものに囲まれて過ごせる唯一の場所だ。その為に長年ローンを払うのだから何の遠慮が要るものか。つけたかったらシャンデリアでもステンドグラスでも大きなオルゴール時計でもトーテムポールでも大仏でも魔よけのご神体でも神棚でも豪華カラオケステージでも好きにどうぞ。ご近所に吐き気を催させない外観さえ保てば、玄関あければ総ピンクでもミイラ像がお出迎えでも獅子脅しでも噴水でも何でもよい。それがあなたの個性だろう。

でも、開業に関してはそういう熱意は静かに静かに納めて欲しい。ここでごっちゃにしてはいけない。お店で主役として作りたいものはただ一つ、コンセプトにマッチした空間なのです。店は客に使ってもらうためのスペースなのだ。つまり客のためにあなたが準備したスペース。でも、大抵「開業」となるとあれこれしたくなるのが人の常で、ここに新婚旅行でかったあのベースが置きたい、ここには籐製の大きな籠を、この一角にはモザイクタイルのテーブルを、棚の端には葡萄の装飾を。そこへ奥様の趣味のステンドグラスや、カリグラフィーやステンシルが入り乱れると、「えぇーーーいっ!厚くるしいっつ!!!!!」いったい何が見せたいのや!という結末へばく進です。 渦中にいると分からないのです、浮き足立っているから。これもあったらかわいい、これもあったらすてき、かわいー、すてきー、かわいー、すてきー。合羽橋に初めて行ってよけいな装飾を買い込んでしまうのです。

違います。やめましょう。あなたの趣味や趣向や嗜好の展示場じゃ無いのです。ライフスタイルを感じさせるスタイルの統一でコンセプトにマッチさせ、客にその同一性をアピールするのは一つの戦略でしょう。いい加減にしておかないと「うぁー雑貨屋さんだけどドリンクもあるんだ」と言われます。そういうコンセプトならそれでもいいのですが。さて周りを構成する空間デザインもそんなわけでライフスタイルの主張を見せるために黒子的に重要な役目です。そして店のオーナーの人柄を示す程度の選び抜かれた装飾小物も必要でしょう。

ところがあまりシロウトには明かされていない実は非常に重要な、形を持たない要素が存在します。「照明計画」です。ここ10年ほどで照明器具は光源がさらに進化しました。実用レベルにはコストも含めてもう少しですが、期待しているのは「LED照明」です。大きな脅威である「熱」を発しない光源。実際に使えるレベルになるのは数年後でしょう・・・。今では照明器具と言えばLEDに取って代わりました。

光には1.地明かり という概念と 2.演出照明という概念の2種で構成していきます。全体の照度の確保が「地明かり」という概念です。あとは演出照明です。面的に光を広げる間接照明や棚照明がステージを際だたせ、そしてスポット系の点光源系の照明が輝き感や、存在感を演出します。ほらどうぞ見てねと料理を出すとき、やはりスポットライトに照らし出してあげたいとは思いませんか?

本日のコーチE-002
照明器具第三世代がやって来ました。コンセプトにあったデザインが事業戦略上重要です。

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