モジュール分割とレッドブルのコンテナハウス

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コンテナハウスの根底をなすシステムはその「モジュール」としての概念だ。世界標準を準備した背景は「チェーンロジスティクス」という目標だった。「チェーン」はそのまま鎖のように繋がって、「切れる事なく運んで行けるシステム」という事だ。事実それは世界中に広がり、地球上をくまなく運ぶ「チェーンロジスティクス」が確立された。世界標準がこれまで広がった例があるだろうか。

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このチェーンロジスティクスを実現する為に必ず守らねばならない事はその「モジュールサイズ」だ。このモジュールと緊結方法の標準を守っていれば「船積み運賃」さえ破格にローコストだ。バラ積み船などに比べれば、決まったサイズの箱状だから沢山効率的に積める。皆が利用するから、定期船も多い、いい事尽くめで輸送費は下がる。ちなみにこのコンテナをバラ積み船に積めばヘタをすると10倍程度の輸送費になる。

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さて、写真のコンテナは「REDBULL」様にご発注いただいた「DJ_booth」のためのコンテナだ。ブース自体は20FEETのサイズも要らないほどの小さなサイズ。当社ではどのようなサイズのものでも製作は可能だ。それゆえご要望通りのサイズで製作したが、2Mほど20FEETコンテナにはサイズが足りない。このまま運ぶと20FEETコンテナを運ぶよりももっと輸送費がかかってしまうという、モジュールシステムならではのパラドックスが発生する。

設置する場所の特性に合わせて、残りのサイズで「階段」を作り、「連結して20FEET」にし、20FEETコンテナとして輸送を行った。設置現場で分解し、上部の写真のように「本体」と「階段」としてそれぞれ設置し、無駄もなく、輸送費も20FEETコンテナそのままで実現した。

高偏差値読者の中にはこれで「ピン」とひらめくものがあるでしょう。そう「40FEETコンテナ」にもその考え方は適用出来る。「30FEET+10FEETコンテナ」などの組み合わせを考えれば、ある意味「モジュールサイズからの呪縛」を解く事も出来るのだ。これが一つの「コンタクトデザイン」。あらゆる手法がそろってきた現代コンテナ建築研究所のコンテナハウス。自由度においても私どもを縛るものはない。モジュールという世界が生み出す利点のみを拡大させ、あらゆる建築を自由に造り出して行きたい。

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