界隈性の卓越化(ディスタンクシオン)によるタウンハウス_コンテナハウス

卓越化(ディスタンクシオン)

すべての人間は、自分に先んじて存在する社会の中に生まれ出て、その社会の規範にしたがって社会化される。しかし、もしこのプロセスが完全であればわれわれは単に社会を機械的に再生産することになり、歴史は動かないことになる。われわれは社会に同化しながらも他者との差異を保つことによって自己同一性を保とうとする。この他者から自分を区別してきわだたせることを卓越化と呼び、これが階級分化と既成階級構造の維持の基本原理となる。

distinction(ディスタンクシオン) なるものが実は差異であり、隔たりであり、弁別的特徴であり、要するに、他の諸特性との関係においてしか、またそうした関係においてしか存在しないような、関係的特性にほかならないということを示すために選ばれたものなのです。

卓越化は、いわばデリダの差延(diff*rance)のように、空間的な差異のみならず、時間の軸に沿った差異をも誘導し、差異の時空間を構成する。しかも差異と差異の間にも微分的に分節化された差異をも生み出す。

フランスの社会学者 ピエールブルデューのいう「卓越化」の概念である。

人々が心地よく社会の中で生活し、建築空間の中で過ごすとき、実はこの概念は建築をデザインするものにとって非常に重要な概念となる。差別化ではなく卓越化。