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同じ事業コンセプトで10年も20年も事業を続けて行く事は現代社会では困難ですね。社会環境は日々変化し、経済環境も日々変化して行く。事業主はそれに巧みに対応しながら事業を推進して行かねばなりません。しかしながらビジネスを実際に行う「立地環境」も含め、環境が劇的な変化を遂げ、あるいは長い時間の間に徐々に変化をし、結果的に大きな変容をし、当初の環境とはちがったものとなり、現行のビジネスとのマッチングが悪くなるケースは多いと思います。
そんなとき「不動産」である「建築」は一般的には「不動」のもので、やり替えは効かない。一般的な方法は「業態を変え同じ場所で追従する」か「マッチングの合った他所へ移る」という2択となります。現代のそれなりの資本以上でビジネスをこなす場合、個人店主の店とは違い、多店舗あるいはFCで展開するようなビジネスの場合、時代とともにマイナーチェンジを繰り返しながら時代性とのマッチングは取るものの、劇的な変化をする事は逆にその事業スケールから難しいと考えられます。
ある種の業を守りながら進展させて行くとき、分かりやすい唯一の可能性は「移転」ですね。例えば、年間50店舗などという新店展開をする多店舗事業であれば、常識的にその半数くらいの店舗数の採算の悪い店は「閉店」させ、次の展開を目指します。
このとき「閉店」は「解体」を意味します。それはすなわち「償却」の対象となります。もし「移設」出来るなら意味が大きく変わる。「解体」ではなく「移設」となると、極めて効率的な資本の保全が出来るのです。机上の計算では建築物の再生率は70%。移設費用を差し引いても60%。新規店舗を40%の費用で出店出来るという事に等しくなります。これ以上語る必要もないでしょう。BIZ向け建築としては、構造体として不向きなものでない限り、このシステムを選ばない理由がなくなるのです。
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移動する事を前提にデザインされた「CAFE」プロジェクト
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