砂・そのデザインとコンテナハウス

当社の若いデザイナーがデザインした「Rの壁」に使われたガラスチューブと「砂」。砂の種類によってなにがしかのメタファーが表現されている。これは診療所の内部にある壁であるが、その診療所は別所で7年間診療を行ってきたが、移転をし、新たな診療所に移転する。その移転先の新診療所の壁のデザインである。過去の7年間の診療の時間を「砂(砂時計)」と地層のような「重なり」で表現しているようにも見える。自然素材にこだわったこの診療所では化学成分を出来るだけ持たない建材で作り込んである。白いインテリアの中にこの壁だけが「自然」の素材の色を持っている。

砂もガラスも、表現を変えれば違った見え方をしてくる事を知らせるデザインでもある。地層をガラスチューブで切り取ればこのようなサンプルを作れるかも知れない。その事を設計家たちは知っている。なぜなら地質調査時のボーリングをしたときの「地質見本」で記憶があるからだ。

コンテナボックスも、連結をし、積み上げ、空間に機能を与えれば違った見え方がしてくる。輸送用のボックスが建築空間に変わってくる。そしてより完全に建築基準法をクリア出来るようにシステムアップして、製造環境を整え、使用材料を遵法化し、構造的な最適化をしていけば「システム建築」となる。

見る場所、立ち位置、考え方、使用方法の転換は、「モノ」に新たな側面を作り出す。

少し話をしよう(コンテナハウス)_メタデザインについて

「メタ・デザイン」という概念を当社ではざっくり言うと(大きな概念的要素)という意味で使い、反意語は「コンタクト・デザイン」とし、(細やかに最適化させるための要素)という使い方をしている。

「メタ・デザイン」は「概念形成ツール」として理解するには次の4つがセットとなった概念と考えられている。

  • 抽象概念レベル(抽象概念・言語・手段的思考の構造と限界を理解する能力)
  • 図解と位相幾何学的思考(位相幾何学的な理解に支えられた、図像的な思考とデザインの使用)
  • 手順を示す(手続き型の)デザイン(ゲームやロールプレイ、さらには手順を示す様なデザイン・アート・建築のように、手順を用いることで現実性を創造すること)
  • 発生/出現(絶対的なコントロールの欠如と、意図しなかった結果や予期しなかった結果を利用する能力)

コンテナハウスにおける「メタ・デザイン」の要素のチカラは大きい。思想的な部分を置いて、スケールなどの物性だけにしぼって考えてみると「定められた枠としてのサイズのルール」これがまず一つの規範である。

その次に「Logistics_container」としての役割を果たす為の「緊結ルール」のための「固縛要素としての装置ルール」という規範が存在する。あとは「コンテナが持つべき強度」の規範があるが、「建築用」として開発しているため、ここは別のルールを適用する。建築用ルールを適用しても「Logistics_container」としての強度は保っているために問題は起こらない。

20FEETサイズは2438mmX6058mmX2591mm_又は、2438mmX6058mmX2896mm。40FEETサイズは2438mmX12192mmX2591mm_又は、2438mmX12192mmX2896mmという主な4つのスケールが主なスケールということになる。これを当社では「メタスケール」と呼ぶ。

メタデザインとしてのこのメタスケールは言うなれば「共通言語」だ。上記を仮に順番にA,B,C,Dという名前をつければA<仮>と呼ぶとすると、そのA<仮>は世界中でA<仮>があるスケールを指すこととなる。

A<仮>は2A<仮>を並列状態の20FEETコンテナとするならば、低めの20FEETコンテナが2つならんでいる様子を指すこととなる。

共通言語の要素を根本に持っている事の強みは実は計り知れない。そのことには少しずつ入って行こう。

実は「メタデザイン」はコンテナのこのサイズの事だけを言うのではない。何かをデザインして行くときの鳥瞰的規範の事も指している。つまり、個々のデザイン案件に適用される「コンセプト」のことでもある。

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当社のコンテナシステムはツリー構造ではなく「セミラティス」構造を目指して作られている(デザイン概念のことで建築としての「構造体」の話ではありません)。
それは「メタデザイン」が本来持つべきデザイン構造だからです。

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もちろん都市もツリー構造ではなくセミラティス構造である事はすぐに理解出来ます。

メタデザインの思想構造は実はコンピュータでいうところの「OS(オペレーティングシステム)」に似ていると考える事が出来ます。当社のコンテナハウスには当社のメタデザイン(OS)が作り上げられているのです。そしてそれは汎用性のある部分です。当社のは言うなればLINUXのように開放されたオペレーティングシステムとして構築しようとしています。

つづく(2020/04/06)
メタデザインとコンタクトデザイン

事実建築可能なコンテナハウス

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お蔵入りの案の数はその数、3000プランを超える(爆)

希望通りのプランを立てると概ね予算をオーバーする。それだけクライアントも希望が膨らんでいるということだろう。このプランは20FEETX6本に40FEETX2本のプランだ。延床面積140㎡。価格は2600万〜程度。リーズナブルだと思う。誰もこんなプラン実現出来ないのに・・・・・・。

アルマーニA|X原宿(現在ストリーマーコーヒー)は2000万オーバーだが、あれは特殊サイズで輸送費に余計なコストがかかり、おまけに延べ床面積はこの1/3に満たない。つまり坪単価は200万に近い。上記のプランは60万/坪程度である。この建設費高騰の中、当社は上物は安定した価格で提供している。(基礎などはやはり高騰してしまっているが・・・)。上物が高騰していない理由はその生産システムにある。

この計画はそれでもスケールダウンして計画は続行中である。

卒業

卒業を待たずに、学生が当社の仕事を手伝ってくれていたが、本日が卒業式ということで、午前中は仕事を手伝って午後の卒業式に出かけて行った

「卒業おめでとう」

「卒業」というコトバの響きはなかなかいい。
ある一定の事を成し遂げた感覚、また旅立つ感じや、未来を彷彿とさせる感じ、あるいは一生懸命に勉学に勤しみ、課題をクリアし、パワーを付けて来た自分の歴史、そしてこの場所にやって来た。しかしながらここは到達点ではなく、新たなスタートの日であり通過点である。

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人はいくつもの通過点や結節点を通過しながら生きて行く。後悔することや悩むことも多々あるが、概ねどんな経験も役に立たないことは無く、未来に何かを置いてくれる。その繰り返しが人を育て巾を作って行く。

特に若い人たちは素敵だ。未来そのものだ。建築家としての卵さんたちが今日は何人も旅立つ。建築は総合芸術であり思想の体系でもあるので、醸成するには時間もかかるがそれだけやりがいもある。こっちだろうか、あっちだろうか、いろいろと試行錯誤しながら、到達点そのものはなかなか見えないけれど、その振幅はだんだんと小さくなり、着地点のイメージが固まって来るような、漸近線の到達点のような感じだと私は思っている。もちろん人によってその到達点は違い、その違いが思想の違いだ。

その本日卒業学生はもう「担当物件」を持っていて日々格闘してくれている。明日を担う若いチカラは、卒業を待たずして育っている。

ずっと支える。もっと役立つ。コンテナハウス。

東北の震災が起きたとき、仮設住宅をコンテナハウスで作りませんか?という働きかけを一生懸命行った。結果的には仮設住宅ではなくいくつかの建物で作りはしましたが、仮設住宅は扱わせてもらえなかった。提案としては、この震災はきっと長い仮設住宅生活になるだろうし、一般的な仮設住宅はそのまま廃棄になるので、コンテナで作り、やがていろいろと整備が整って来たら、仮設住宅として利用しているコンテナも使い、移設してゆっくり過ごせる住居に拡張リモデルしてはどうだろうという、一過性にとどまらず、住民の為に役立つ提案をしたりしたのですが、なかなか国や行政のシステムを越えることが出来ず実現出来なかった。

ずっと支える。もっと役立つ。コンテナハウス。
どこかのキャッチフレーズだけど、コンテナハウスにぴったりだ。

移設も出来、拡張も出来、逆の減築も出来る。その躯体は頑強で何十年も使え、組み替えすら対応出来る。

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どこにもないコンテナハウスのデザイン

コンテナで何か建築物を作りたいと願う意味。

その1.単純にローコストを狙う
その場合、中古コンテナを使ってコンテナハウスなどを作っていらっしゃる業者様もいらっしゃるのでそちらに行かれた方が多分目的は達成出来ます。別の意味で当社は中古コンテナの改造は行ってないので、当社の製品は金額面では多分「中古」コンテナハウスより高価だと思われます。ま、しかし新造コンテナでJIS鋼材仕様なのでしかたありますまい。

その2.どこにもないデザインでコンテナハウスを作りたい
なぜあなたがコンテナハウスに住みたいのかわたくしどもにお伝えください。その意味を理解してあなたの為のコンテナハウスをデザインします。

時々このブログサイトに中にコンテナハウスが持つデザイン的コードの話を書いています。コンテナハウスがもともと持っている裏に張り付いたイメージの話のことだったりします。皆さんとコンテナハウスのデザインを行っていると、実はわたくしどもでは気がつかなかったイメージを抱いていらっしゃる方がいらして驚いたりしています。

人々は実は生まれながらにして「デザイナー」なのだと思う。イメージを膨らませて、ある世界を構築する力を持っている。ただ、わたくしどもは少々建築物を作る為の技術や方法について実際に研究してきたので、そのイメージの実現方法についてはプロとして対応が出来ます。それはあなたのイメージを実現する方法をより知っているということです。

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ちょっとどこにもないコンテナハウスを作ろうとし、それを日本の建築基準法に合致させ、きちんと対応しようとするとこのような構造解析をしなければならなくなりますが、それをやるのがプロでしょう。

ここへいく為の一つのプロセスが上記の構造解析。

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傾斜地のコンテナハウス(鉄とガラスのラビリンスwith greeeeen)

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いくつかのエスキースの後におおよそ固まった「傾斜地のコンテナハウス」。出来るだけ斜面を削る体積を減らしながら計画を進めた。各層はコンテナの高さで構成されながら、アプローチは南アプローチと北アプローチの両方から可能だ。

北と南は当然建物の表側と裏側を構成する。どちらが「表」という話はどちらでもいい話だが、北側からアプローチすると40FEETのコンテナが1台だけしか見えない。

南からアプローチすると、3層の建物のように見える。

北アプローチで玄関を入ると、いきなり南の眺望が開け、アンダーレベルのルーフトップが大きなデッキを構成する。クライアントの使い方次第だが、インターフェースを構成するこの空間は「ギャラリー」にでも使いたい空間だ。

アンダーレベル1に下りると、キッチンとリビングがL型に構成され、Lのコーナーを挟んでまたリビングデッキを構成しており、外空間との調和と溶け込みを意識している。

渡り廊下を渡ると、そこはユーティリティーとバス空間が用意されている。眺望がいいのに、近隣はそばに無く、遠く離れているので、外部空間を見下ろしながらの入浴が楽しめる。

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アンダーレベル2には寝室などのプライベート空間が準備されており、一日の疲れを癒す空間となっている。それでもここは、更に下に接する道路からは4Mの高さを持っており、セキュリティーの面でも優れている。

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スタディーモデルとコンテナハウス

模型

計画を進める時、簡単にだが模型を作る。図画工作の時間のようだが、これが最も、誰にでも伝わる手段だ。ジオラマではないし、完成予想模型ではなく、シェイプアップする為の検討用模型なのでずいぶん簡単に、はしょって作る。

3Dパースのデータを作るよりもずっと初期の段階だし、「検討する為の模型」で、我々の業界では「スタディーモデル」などと呼ぶ。

20FEETX二台のコンテナの上に40FEETが股がっている状態の模型だ。
キャンティレバーで載せたい所だが地震国日本での建築基準法をクリアする為には、地震時の「揺れ」に耐えなければならないので、この状態で3M強のキャンティレバーになるのでなかなかそうはいかない。

このスタディーモデル写真を見て悲しいのはやはり40FEETを支える「足」の部分だ。これからきっと「足」のデザインを検討する時間が始まる事になる。

コンタとコンテナハウス

コンタとは、実際にある山や谷などの地表の起伏を、ある縮尺の地図上に正確に理解するために、その地図中に描かれた同じ高度上の点の集まり(線)、およびそれらがある一定の高度間隔でつらなった線群である。等高線、水平曲線、コンタ(contour)ともいう。実際の地形と等しい標高部分を線でつなぎ、一目で地形が分かるようにしたものである。建物などの見え方を検討するために、ジオラマ的な模型をつくるときには、等高線にしたがって高低を付ける。

このようにして作った敷地模型がこれだ。スケールは1/200。ボードの厚みが5mmなのでボード一枚の厚みが1Mにあたる。すなわちこの敷地の高低差は10M。この模型を使いながら今回は、この南斜面になる斜面にコンテナハウスを検討する。

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実際にこのような斜面の計画では、絵などのスケッチだけでは、長年立体物の計画をやってきているとは言え、イメージをつかみにくいので、このようなコンタ模型を使うのは極めて合理的だ。特に施主に説明するには平面のパースなどより圧倒的に説得力がある。

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目線に近い位置から写真を取るとこの斜面の感覚がよく伝わってくる。

斜面上の、特に南斜面、そしてその斜面上からの見晴らしはいい感じの敷地だ。
斜面を削ったり、土留めを作りながらコンテナを配する予定だ。斜面の加工は土木的に普通に施工しなければならないがその施工が終れば、ラフラークレーンでその斜面にコンテナハウスを配して行くとこの計画は出来上がりだ。

似たようなさらにスケールの大きな計画を現在中国の「旅順」にも進めている。こちらはブティックホテルとなる。

Archigramの思い出 時代の寵児たちとコンテナハウス

アーキグラムの活動は1964年頃からだ。下図は「プラグインシティー」。やがて日本の黒川記章や菊竹請訓にも影響を与え、メタボリズムという思想のベースを作ったと考えられる。私はその時代の後に、彼らが広げた思想の影響を受けた時代の方々の洗礼を受けながら学生時代を過ごす事になる。当時建築を作らないこの建築家グループの活動は、ペーパーの上で行われた。ある意味、建築の構想の理念を明確に伝えるためには「ペーパーの上でしか作らない」という方法が、メディアを巻き込み、より効果を現す事になった。

「ピータークック卿」いかにも英国人らしいこの名前、しかもサー・ピータークック。


最近のパフォーマンス。近年では実作も作っている。それはそれでまたすごい。
彼らの活動を眺めていると、きわめて「哲学的」である。建築とは哲学である。という一つの考え方を明確に伝えている巨人たちである。

ロバートクロネンバーグ「動く家」

絵として記憶に深いのはこの「動く家」もそうである。やはりメガストラクチャーにたいして「消耗品としてのユニット」がはめ込まれていく。ユニットはもう建築ではないのかもしれない。彼らが考える建築はこのメガストラクチャーと、その思想に他ならない。

コンテナハウスとはいえ、わたくしどもはこのシステムに確固とした思想を持っている。ローバートクロネンバーグの動く家同様、「工業化システム」としての建築と「動的」性能を与える「ワールドワイドロジスティクスシステム」の融合、そして新たな材料として、その構築に対して見えないインフラのインターネットの活用だ。その中から「人間の空間」としてコンテナのシステムが空間を構成して行く。成長と代謝を繰り返す事が出来るシステムとしての建築だ。

3.11以降、建築家たちは何をしているんだろう。もっと国や指導者に対して影響を持つ建築家が率先して国を牽引していくべきだろう。大きなコンセプトをきっちりと根付かせなければ、地域の建築家など、どう動いていけばいいのか(思う事はきっちりあっても)影響力というか、実施権は何もないのだから取りまとめていく事は出来ない。国の組織としての設計力は「国土交通省」にはない。デザインをする機関ではないのだから当たり前だ。規範を作っていく事には長けているだろうが事態が事態なので困惑し手詰まり状態だ。

なぜかそういう震災後の対応を見ていて「アーキグラム」の活動の事を思い出していた。このような思想家としての建築家たちが動き出さないと道しるべをかざす事が出来ないのかも知れない。残念ながら私にも力不足だが、とりあえず出来る事はお手伝いしている。