コンテナハウスとその未来

当社は建築設計事務所であるが、お客様の中には「建築設計事務所」も多い。不思議な話だが、建築基準法に詳しければ詳しい程「輸送用コンテナの限界」が解っているので、当社に相談に来られる。わたくしどもは当社のコンテナ建築システムを成長させ、普及していきたいので、「建築設計事務所」の相談には積極的にのる事にしている。

当社のコンテナハウスのシステムを理解して頂き、建築設計事務所の方がコンテナハウスを設計すると、また思いがけない方向のデザインが出来る事がある。もう10年以上も「コンテナハウス」を設計してきても、趣味や思考の方法が違うとまた違うデザインが生まれるというのが面白い。

集合住宅の案を出して来たのは「更田建築事務所」。面白い。

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残念ながら計画に終ったが、いつか「更田建築事務所」とやりたいデザインだ。

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コンテナハウスとモータースクール

トヨタのコマーシャルですら、というか、トヨタだからこそ出来ると言えばそうなのですが、ドラえもんが登場しのび太なども登場するテレビコマーシャルは「クルマの宣伝」ではなく「クルマに乗る為に<免許>を取ろう」というコマーシャルがある事をご存知でしょう。免許を持っていないと「クルマを買う」という事すらなくなるので、少子化の時代、新たなエントリー層に対して「まず免許を取ろう」という事になっている時代です。

さて、自動車免許を取ろうという方々は「比較的若年層」つまり大学生や若い社会人。取り分け就職にも優位だろうという事で学生の間に自動車免許を取る方は多いと思われます。なぜなら社会人になってからより、その為の時間は取りやすい環境にあるという事もあるでしょう。おまけに学生の場合「夏休みや春休み期間」という素敵な時間がある訳です。

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それに目をつけた自動車学校が考えた戦略が「合宿で自動車免許を取る」というプラン。学生ならでは出来るプランです。あるいは卒業して就職するまでの間などに取るには最適のプランとなります。

基本的には大都市圏に学生は多く、田舎から出てきている学生は故郷に帰って取る事も出来ますが、比較的田舎の宿泊費の安い場所で自動車学校が競ってそのようなプランを出しています。早稲田大学などでは生協の商品にもなっているくらいです。

最近の学生は成長した日本の社会の中で育ってきましたから、そんな合宿免許講習とはいえ「1人部屋」で過ごしたいというのが一般的です。自動車学校も民宿などとタイアップしてやっていましたが、なかなか少子化でこの企画も厳しい時代を迎えており、コスト削減とグレードアップに悩まされています。だんだん外注的なタイアップでは対応は難しくコストのかからない方法はないものかと模索しているのです。

外注型では外注先の利益を含んだ額でしか対応出来ませんから、それなら自社で「宿泊施設も対応してはどうか」という事になってきます。

宿泊施設は「コンテナハウス」の中でも「同じタイプの部屋」を複数作る事になりますが、実は工場で生産するユニット式のコンテナハウスはこのような複数同じタイプというような作りの時にコスト的にはメリットが出やすい方式です。同じものを次々に作り出すのは結構得意だからです。

こうしてコンテナハウス型「宿泊施設ユニット40FEET_type」がデザインされました。
ユニットとしてはなんと一部屋あたりのコストは400万を切ってしまいます。(家具や備品込み)
(現地の基礎や設備系の1次側は含まれていません=現地調査をしなければ決まりません)

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コンテナハウスとビジネスモデル

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当社は、コンテナを使った建築物やプラントなどに対し、考えられるビジネスモデルを惜しげもなく発表していきます。ビジネスモデルは「特許」の対象になるほどのものですが、それをWEBで掲載して行く事は、知恵のない同業者はそれを見て「なるほどそういう方法もあるのか・・・・」とそのコピーモデルで事業を進める事が出来ます。そのとき当社は、そのビジネスモデルを真似されて「不利」と考えるのか、いやそうではないと考えるか。実は当社は後者の立場を取っています。不利とは考えていないのです。

読者は覚えているでしょうか、今やデジタルチップによるi-podの時代になっていますが、その原型はSONYのwalk_manというヘッドフォンプレーヤー商品が初めて発表され、爆発的ヒットを飛ばしたことによってこの「ヘッドフォンプレーヤー」というジャンルが構築されました。まさに新たな商品のエリアを開発した新商品でした。この時代「カセットテープ」を駆動させヘッドフォンで聞くタイプでした。そのあまりのヒットに家電メーカーは競ってコピーモデルを作り、TV_CFを流し、それぞれの商品を宣伝し、売ろうとしましたが、売れるのはsonyのwalk_manばかり。他社が宣伝すればする程walk_manが売れるのです。それは消費者心理としてやはり「ホンモノ」が欲しいからに他なりません。かくして、walk_manは不動のセールスをモノにしました。

時代は進み、モーターでカセットを動かしながら再生するという方法は消費電力も多く、電池をすぐに消耗します。デジタル技術が進み駆動系までもがソフトウェアになり、消耗電力が格段に落ち、小さくなりwalk_manはMP3プレーヤーというジャンルに取って代わって行きますが、残念ながら新たなガリバー、apple社の「音楽ソフト配信プラットフォーム戦略」で遅れを取ったSONYは、モノとしては遜色ないものの、次の時代に入って行きます。この遅れはSONYが楽曲の提供を在来の「レコード店」などにも卸している事業体だったがゆえに、デジタル配信に切り替える事に時間を要した為です。切り捨てる時には切り捨てなければ次の時代に乗り遅れるという負の例にもなってしまいました。

少し別の話も混じりましたが、圧倒的な内容と信頼性を獲得していれば、他社が真似をしてくれる事は、むしろ当社の受注を増やす要因にすらなってくれるということなのです。これが積極的にビジネスモデルを発表して行く当社の意味と立場です。

コンテナハウスとデイサービス

田舎でも、きちんとやれば成り立つビジネスがあります。しかも立地をそれほど問いません。ビジネスモデル的ストーリーとしては、長年会社勤めで、まじめに勤め上げてきた夫婦がそろそろ「早期退職制度」で、あるいは普通に定年で、都会でマンション暮らしだったけど、少し田舎に行こうかな。あるいはふるさとに土地があるから帰ろうかな・・・・。というようなまだ体に問題のない夫婦の「家業」として最適です。

それは「小規模デイサービス事業」です。施設は、下の写真のようなタイプです。黒い方はまさにデイサービス施設です。もうひとつは実際はCAFEですが、もう少し小さいタイプでこのような大きさで可能です。

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デイサービス事業は「保健」制度なので、要介護の高齢者の、誤解を恐れずに分かりやすく書くなら「保育園」のようなものを厚生労働省のお墨付きで事業する事が出来るのです。

迎えに行ってあげて、昼食、お遊び(身体のノーマライゼーション)のための軽い運動や、入浴、お昼寝、などをして静養と運動で心身ともにノーマライゼーションを目指すものです。

利用者は自費扱いになる「食事」の分などで利用料金1000円〜1500円を支払い、あとは保健で補われ、運営側が一人当たり保健点数での収入が10000円弱/人日ほどの運営収入になります。登録が15人から20人くらいで毎日10人程度が通ってくるという感じです。

つまり土日は休みです。午後4時半から自宅まで送って帰り、6時には仕事を終えられるでしょう。月に利用者が延べ200人程度になります。つまり200万/月くらいの売上です。昼食は私費を徴収しますから、人件費に自分たち夫婦以外に送り迎えの運転手のアルバイト。お昼時のパートのお手伝いさん。建築費の分割払いなどを差し引いたとしても毎月50万円程は残ります。定年後の収入としては、あるいは田舎で出来る事業としてはそう悪くないでしょう。土日はお休みですから温泉旅行くらいすぐに行けます。

やがて自分の施設で、自分が面倒見てもらえる時期が来ます(爆笑)。それはそれで安心です。

「田舎で成り立つ事業」という今までにない特徴を持っています。

コンテナハウスのDENTAL OFFICE

実は、デンタルオフィスはコンテナでなければ、山ほどデザインしてきた。それに凝っていた時代があった。その後「産婦人科」も沢山設計してきて、だんだんと総合病院に移り、最後は大学病院のICUを設計した。病院系はその大学のICUで終了にした。なぜなら「胃潰瘍」になったからだ(爆笑)。ICUはちゃんと作り上げたけど、設備の化け物で、設備との取り合いで終始し、その交通整理に明け暮れた。この私が(太っ腹のわたくしが)胃潰瘍に・・。

その後はショッピンセンター系と飲食系と、だんだんホテル系、リゾートホテル系・・・・。そしてコンテナにハマった(爆笑)。

いやいや、なかなかコンテナは深い。デンタルオフィスでさえ、今までに見た事の無いようなものを作る事が出来る。図面はスタディープランとその模型。またデンタルオフィスもやります。

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コンテナハウス。ある一つのテーマ。「DC24V」

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当社の勝手な話だが、コンテナハウスの「テーマ」がある。

住宅系に「ワンデザインクラス」を3シリーズ程完成させる。その中でパワード状態として、オフグリッド系コンテナハウスの骨格に一応の完成をみる事。集合住宅系のシリーズを3タイプ程、標準系を完成させる。実はこれらの事の中にはそれぞれ「大いなる野望」が潜んでいる。

どれも法人としての技術レベルをさらに格段に上げ独走状態に持って行きたいという事ではあるが、ジャパニーズ・ガラパゴスにはなりたくないし、世界標準でいいのだが、コンテナハウスの「良さ」を追求し「デメリット」を克服して行く作業の一環だ。

コンテナハウスはなんだかんだ言っても「建築のシステム」としてはまだまだ新しく完全に完成しているとは言いがたい。建築基準法上も特に問題はないし、公的融資も受けられる。確かに工期は短いし、同じ重量鉄骨系の建物に比べればかなり安価だ。事実、多くの方々に受け入れられている。しかしまだまだ、改善する余地は沢山潜んでいるのだ。

片方で「独創性をめざしアートなコンテナを目指す」一方で、「標準形」を開発してローコスト化を目指す。両極を目指さねばならないというこの矛盾・ジレンマはまだまだ開発にたずさわる人間が少なすぎるのかも知れない。

コンテナハウスと内モンゴル(中国自治区)

中国の旅順にある会社から「内モンゴルにホテルをコンテナで作りたい」という相談があり、どうやら本気らしいので中国まで打合せに行った。

中国の話なのに(謎)、エコロジーとか自然エネルギーとか循環系の計画だとか、先進技術だとかの現代的キーワードの話がずいぶん出てくる案件なのだ。中国にもずいぶん先を見通した方もいるのだなと思いながら中国に向かい、打合せに望んだ。ホテルを作りたい場所は中国の「内モンゴル自治区」の中にある有名な観光地、しかも何もない「草原」が素晴らしいという地域だ。

どのような場所かというと、このような感じらしい。

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実は中国の中では「植物油」の一大生産地であり、「レアメタル」が埋蔵されている地域である。何といっても広大な「草原」が素晴らしい観光地なのだ。その草原を破壊する事なく、しかも冬は厳冬の場所真冬となれば−40℃の世界らしい。観光シーズンは夏の3ヶ月のみ。その3ヶ月の間の草原が素晴らしいらしく、中国国内でも行きたい観光スポットの10本指に数えられるそうだ。

内モンゴル自治区。ジンギスカンの活躍した地域だ。確かに馬が似合う。

その草原へのインパクトを最小にし、再生可能エネルギー供給も考え、人間が訪れて生活する事によるインパクトも極力抑え、建設会社などもちろんいない所に「ホテル」を作るとなると「コンテナホテル」しかない。という結論らしい。建設会社がいない所での建設となると「コンテナハウス」というのは当社の「離島建築」と同じ意味でコンテナハウスはその根幹が持つ「ロジスティクス内包型建築」という意味で確かにマッチングがいい。そして当社が研究している「オフグリッドハウス」の商業版という意味では当社にもマッチングがいい話だ。

実はクライアントは3年くらいのスパンで設置場所さえ移動し、「設置場所周辺への環境的インパクト」を最小にしたいとも考えていたそうだ。

そうですか・・・。そこまでいうならこの話考えてみよう。

かくして、オフグリッド_ローインパクト_コンテナハウスホテルプロジェクトのはじまりはじまり.

コンテナハウスのデザインコード

コンテナハウスのデザインコード

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デザインのコード (code)      記号・暗号・規約などと訳せば意味は分かるだろうか。

デザインのモード(mode)      見せかけ、道、外観、マナー、ショー、モード

デザインのノード(node)    接点・結節点・節

デザインのオーダー(order)            秩序・指令・順位・体制 などと言えばニュアンスはわかるだろう

デザインされた空間であるかどうかを見極める超重要語句である。

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どのような方向であろうとこれらの語句で空間を見たとき、
それらにある一定の「機序」があれば
明らかに「意思」が入った空間である事を理解出来る。

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コンテナハウスであろうが、コンクリートの空間であろうが
それらをコントロール出来たとき
ある種の「驚き」や「感動」、あるいは「意思」を伝える事が出来る。

私どもは「デザインされた空間を作る」を目指している集団です。
コストコントロールをしながら、リーズナブルなデザインされた空間を作ろうとしていますが
貨幣的な価値の意味合いで「安い」ものを作るとしている訳ではありません。

コンテナハウスとマニエラ(デザインの手法論)

カタチあるものを設計して行くとき、概ね何らかの「手法」によって進めて行く事が多い。


画像はレオナルド・ダ・ヴィンチの【ウィトルウィウス的人体図】。人間のプロポーションと図像学との関連性を説く図だ。

デザインの手法論とは、分かりやすく言えば「万能モノサシ」のようなものだ。物事を選択して行く「はかり」がないと、物事を決めて行くのは難しい。カタチを決めて行く作業も同じ事で、プランを決めるとき、垂直方向のビジュアルを決めて行くとき、今書いた「プラン」と「垂直方向のビジュアル」という言い方そのものも、そのような決め方をしているという「マニエラ」の話でもあるのだ。

つまり、決めて行く手法と手段と序列みたいなものがあり、「モノ自体」が持つ「特徴」には手法と手段と序列のような関係は実は曖昧にも関わらず、生み出して行く時にはそれら「手法と手段と序列」のようなものがある方が組み立てやすいという特質を持っている。しかしながらこの事が、実はデザイン作業に支障を生み出す事もある。アートという世界で考えるとその事は了解しやすい。基本的に理論に沿ったアートという世界もあれば、それがないからこそアートという考え方も成り立つからだ。

「Notes on the synthesis of form」という論文を書いた「クリストファーアレグザンダー」という、数学者から建築家に転向した有名建築家がいるが、その方のモノを背敬して行く時のマニエラの理論は、わたくしは少々感化されたものだった。極めて理論的で数学的なデザイン理論。しかし最終的には極めて図像学的な手法と言えるものだった。

当社は、デザイン作業はコンテナに関して言えばとんでもない数のプランを描き続けてきた。その経験値は力にもなるし、足かせにもなる。マニエラは常に更新されて行くべきものなのである。

クリストファーアレグザンダー Notes on the synthesis of form

かぎりなくISOコンテナハウスに近い遵法コンテナのデザイン

詳細は語れない(爆笑)が、限りなくISOコンテナに近いのに日本の建築基準法をクリアするコンテナを開発した。つまり低価格バージョンだ。「中古コンテナでも確認申請は通せるんです」という方もいらっしゃるが、本当にそうなのか・・・。正確な回答は「通せる時もあるが、通せない時もある」が正しい回答だ。その訳すら知らない設計者には頭が下がる思いだ(爆笑)。まあ、その事はWEBのあちらこちらに書いているので割愛します。

ところが、ついに当社は「概ねISOじゃん」というコンテナで、日本の建築基準法をクリア出来る(インチキなしに・・・)コンテナを今回デザインした。ただし、原段階では少々条件があり「平屋専用」でかつ「連結開放タイプには使いづらい」それ以外の場合は、従来からの当社がデザインした「剛構造=ラーメン構造」のコンテナを使って頂かないといけない。当社では別名「みそっかすコンテナ」と呼んでいる。しかし、輸送用ISOコンテナと違い確実に日本の建築基準法を守れる遵法コンテナだ。

下記のタイプだが、もちろん肝の部分は「モザイク処理」してある(爆笑)。特許取る迄は非公開でございます。

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現在考えている用途は「プラント系」と「老人介護系」そして「単独成立型プランの場合」である。今迄の「剛構造=ラーメンタイプ」は今後も主流である事は間違いないが、それが少々「もったいない」ケースも出てきたので新たな手法の導入に踏み切った。

このタイプの「サービス付高齢者専用住宅」には大きな期待をかけている。破壊的価格で供給出来る可能性が出てきた。超高齢者社会日本の明日の構築に寄与出来る可能性は大だ。

誰も追いかけられない場所まで走っていきます。