コンテナハウスと内モンゴル(中国自治区)

中国の旅順にある会社から「内モンゴルにホテルをコンテナで作りたい」という相談があり、どうやら本気らしいので中国まで打合せに行った。

中国の話なのに(謎)、エコロジーとか自然エネルギーとか循環系の計画だとか、先進技術だとかの現代的キーワードの話がずいぶん出てくる案件なのだ。中国にもずいぶん先を見通した方もいるのだなと思いながら中国に向かい、打合せに望んだ。ホテルを作りたい場所は中国の「内モンゴル自治区」の中にある有名な観光地、しかも何もない「草原」が素晴らしいという地域だ。

どのような場所かというと、このような感じらしい。

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実は中国の中では「植物油」の一大生産地であり、「レアメタル」が埋蔵されている地域である。何といっても広大な「草原」が素晴らしい観光地なのだ。その草原を破壊する事なく、しかも冬は厳冬の場所真冬となれば−40℃の世界らしい。観光シーズンは夏の3ヶ月のみ。その3ヶ月の間の草原が素晴らしいらしく、中国国内でも行きたい観光スポットの10本指に数えられるそうだ。

内モンゴル自治区。ジンギスカンの活躍した地域だ。確かに馬が似合う。

その草原へのインパクトを最小にし、再生可能エネルギー供給も考え、人間が訪れて生活する事によるインパクトも極力抑え、建設会社などもちろんいない所に「ホテル」を作るとなると「コンテナホテル」しかない。という結論らしい。建設会社がいない所での建設となると「コンテナハウス」というのは当社の「離島建築」と同じ意味でコンテナハウスはその根幹が持つ「ロジスティクス内包型建築」という意味で確かにマッチングがいい。そして当社が研究している「オフグリッドハウス」の商業版という意味では当社にもマッチングがいい話だ。

実はクライアントは3年くらいのスパンで設置場所さえ移動し、「設置場所周辺への環境的インパクト」を最小にしたいとも考えていたそうだ。

そうですか・・・。そこまでいうならこの話考えてみよう。

かくして、オフグリッド_ローインパクト_コンテナハウスホテルプロジェクトのはじまりはじまり.

コンテナハウスのデザインコード

コンテナハウスのデザインコード

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デザインのコード (code)      記号・暗号・規約などと訳せば意味は分かるだろうか。

デザインのモード(mode)      見せかけ、道、外観、マナー、ショー、モード

デザインのノード(node)    接点・結節点・節

デザインのオーダー(order)            秩序・指令・順位・体制 などと言えばニュアンスはわかるだろう

デザインされた空間であるかどうかを見極める超重要語句である。

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どのような方向であろうとこれらの語句で空間を見たとき、
それらにある一定の「機序」があれば
明らかに「意思」が入った空間である事を理解出来る。

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コンテナハウスであろうが、コンクリートの空間であろうが
それらをコントロール出来たとき
ある種の「驚き」や「感動」、あるいは「意思」を伝える事が出来る。

私どもは「デザインされた空間を作る」を目指している集団です。
コストコントロールをしながら、リーズナブルなデザインされた空間を作ろうとしていますが
貨幣的な価値の意味合いで「安い」ものを作るとしている訳ではありません。

コンテナハウスとマニエラ(デザインの手法論)

カタチあるものを設計して行くとき、概ね何らかの「手法」によって進めて行く事が多い。


画像はレオナルド・ダ・ヴィンチの【ウィトルウィウス的人体図】。人間のプロポーションと図像学との関連性を説く図だ。

デザインの手法論とは、分かりやすく言えば「万能モノサシ」のようなものだ。物事を選択して行く「はかり」がないと、物事を決めて行くのは難しい。カタチを決めて行く作業も同じ事で、プランを決めるとき、垂直方向のビジュアルを決めて行くとき、今書いた「プラン」と「垂直方向のビジュアル」という言い方そのものも、そのような決め方をしているという「マニエラ」の話でもあるのだ。

つまり、決めて行く手法と手段と序列みたいなものがあり、「モノ自体」が持つ「特徴」には手法と手段と序列のような関係は実は曖昧にも関わらず、生み出して行く時にはそれら「手法と手段と序列」のようなものがある方が組み立てやすいという特質を持っている。しかしながらこの事が、実はデザイン作業に支障を生み出す事もある。アートという世界で考えるとその事は了解しやすい。基本的に理論に沿ったアートという世界もあれば、それがないからこそアートという考え方も成り立つからだ。

「Notes on the synthesis of form」という論文を書いた「クリストファーアレグザンダー」という、数学者から建築家に転向した有名建築家がいるが、その方のモノを背敬して行く時のマニエラの理論は、わたくしは少々感化されたものだった。極めて理論的で数学的なデザイン理論。しかし最終的には極めて図像学的な手法と言えるものだった。

当社は、デザイン作業はコンテナに関して言えばとんでもない数のプランを描き続けてきた。その経験値は力にもなるし、足かせにもなる。マニエラは常に更新されて行くべきものなのである。

クリストファーアレグザンダー Notes on the synthesis of form

かぎりなくISOコンテナハウスに近い遵法コンテナのデザイン

詳細は語れない(爆笑)が、限りなくISOコンテナに近いのに日本の建築基準法をクリアするコンテナを開発した。つまり低価格バージョンだ。「中古コンテナでも確認申請は通せるんです」という方もいらっしゃるが、本当にそうなのか・・・。正確な回答は「通せる時もあるが、通せない時もある」が正しい回答だ。その訳すら知らない設計者には頭が下がる思いだ(爆笑)。まあ、その事はWEBのあちらこちらに書いているので割愛します。

ところが、ついに当社は「概ねISOじゃん」というコンテナで、日本の建築基準法をクリア出来る(インチキなしに・・・)コンテナを今回デザインした。ただし、原段階では少々条件があり「平屋専用」でかつ「連結開放タイプには使いづらい」それ以外の場合は、従来からの当社がデザインした「剛構造=ラーメン構造」のコンテナを使って頂かないといけない。当社では別名「みそっかすコンテナ」と呼んでいる。しかし、輸送用ISOコンテナと違い確実に日本の建築基準法を守れる遵法コンテナだ。

下記のタイプだが、もちろん肝の部分は「モザイク処理」してある(爆笑)。特許取る迄は非公開でございます。

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現在考えている用途は「プラント系」と「老人介護系」そして「単独成立型プランの場合」である。今迄の「剛構造=ラーメンタイプ」は今後も主流である事は間違いないが、それが少々「もったいない」ケースも出てきたので新たな手法の導入に踏み切った。

このタイプの「サービス付高齢者専用住宅」には大きな期待をかけている。破壊的価格で供給出来る可能性が出てきた。超高齢者社会日本の明日の構築に寄与出来る可能性は大だ。

誰も追いかけられない場所まで走っていきます。

コンテナハウスはコンテナっぽくない時もある

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コンテナハウスはみな「コンテナ」っぽいかというと、そうではない作りも簡単だ。

仕事が詰まって、スタッフ共々ドタバタと仕事をこなしているときも活気があり、何かが作られて行く様をそのまま表していて楽しい。また同様に、あるいは反対に、少し目の前に迫った仕事の事を忘れて、一人でアトリエで勝手な仕事をしている時が最も心地よい。(それでもやっぱ仕事してるのか・・・)。

建築は実はテクストだ。「最も文学に近くて遠い物理的構成物のレトリックの世界」だ。つまり建築物を造る事は「物語を書く事」に概ね等しい。それは「ある一つの世界」を描く事になる。独立した物語りなのか、周りの状況に溶け込んで行く環境一体型の拡散型世界なのかそれは設定によることになるのだが、建築家の作業は小説家のそれに似ているように思えるのである。

構成の方法をよく、言語論的アプローチ、あるいは構造主義的アプローチを試みる。一方で建築も総合芸術の一つのジャンルであり「わたくしたちの中に潜む自由な表現の発露」を具現化する事が建築としての表現の一つであろうとも信じている。その構成のアプローチやマニエラが仕事の質を決定づけるものでもない。

アートとして考えた時、クライアントの存在が消失してしまう。故に昨今の私どもの仕事は「作品」ではないと考えるのが正しいし、「私どもは作品主義ではない」と公言している。つまり仕事に関しては「顧客主義」を貫いている。しかし、気弱な言い方をするならば「アート的要素」には建築は満ちていて、その要素を抜きに仕事に臨むことは出来ない。

一人だけのアトリエでは、時間すら自由に流れて行く。流れて行っていつの間にかなくなってしまうが(爆)心地よい倦怠感の中で、あんなことや、こんな事(謎)を考えていると、明日への希望や勇気やアイデアが生まれてくるのである。

話はもどり、コンテナっぽくない作り。
アノニマスに近いリージョナル建築デザインコードをいかに自分の中で消化し、人のために仕事の中に埋め込んでいくか。そのコードは、ギリシャ(爆)。ミコノス、白&ブルー、しっくい、手作業、まあるいデティール、地中海イメージ。そんなシナリオを経て出来たのが、外壁を覆い隠し、モルタルで塗ったこのコンテナハウス。そんな事も出来るのである。

コンテナハウスと宿泊施設 「リゾート的宿泊施設」

コンテナハウスとマッチングのいい業種の中に、「リゾート的宿泊施設」があります。

その理由の筆頭は外観やインテリアデザインの
1.「非日常感」です。
次に考えられるのはそれらが設置される
2.「敷地の場所」に対する「設置の容易さ」です。
建築物は50%以上が工場において組み立てられているので、現場での施工ウェイトが在来工法よりも少なくなります。それゆえ建築職人の少ない「リゾート地」では施工性に関するアドヴァンテージが高くなるのです。さらに「事業性のある施設」ゆえの
3.「建設期間の短さ」なども挙げられます。事業決定してから完成までが一般建築の工期よりも3ヶ月短いとすれば、売り上げは3ヶ月早くから立つのです。建築確認申請が始まる時点から工場での生産が可能である事、上記の施工性の容易さから総合的に工期は短くなります。

日本国が「観光立国」を目指す話は10年前からありましたが、にわかには信じられない話と思っていたのですが現実に海外からの「観光客」は右肩上がりを続けていますね。

国民自体も、また地域を活性化しようとする行政や地域の方々も「観光」に力を入れ「地域文化」を改めて掘り起こす試みや、地域の名産、特産、特色づくりに熱心になって来ています。
「とりあえず海外旅行」という雰囲気は消え、DISCOVER JAPAN的な旅行も増えているのは事実です。

宿泊業を営む方々からの「コンテナハウス」への関心は高まり、コンテナハウスの現実の建設戸数は実際に増加し、その比率は高まっています。

ちなみにその他の注目ジャンルは
コンテナハウスのカフェ・飲食店
コンテナハウスの別荘
コンテナハウスのガレージハウス
コンテナハウスの美容室

などが注目度が高いですね。
しかし、美容室だけは実施件数が少ないのです。思ったより建設コストがかかるということのようですが、他の工法より高いということはないのですが、美容室は設備工事比率が高いので、総合的にはなかなか建設費がかかります。安心安全の建築物が圧倒的に安い工法などなかなか出てきそうにありませんですから、どうしても必要なところは省くわけには行きません。
もし今後の時代で期待できるとしたら「3Dプリンター建築」に少し期待が出来るかも知れません(爆)

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コンテナハウスと演出論

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「演出」という概念はデザインの世界の場合しばしば使われる。
「デザインの世界」には裏に潜む力として「象徴力」=「サンボリスム(仏)」のチカラが潜んでいるからだ。「何かを象徴的に表す力」のことだ。その「何か」を選択しながらデザインは進められる。

その選択を確かなものにする為に「デザインコンセプト」を決めて作業は進められる。デザインで目指すテーマの事だ。デザインコンセプトによってデザインのシナリオが決められて行く事になる。

商業的な話の場合は実はこの事は比較的進めやすい。目的がはっきりしているからそのデザインコンセプトも比較的照準を絞り決めやすいからだ。

しかしながら「ハウジング」の場合は少々難航する。住むのはクライアントであるあなた様方。「わたしどもの知った事ではない」からだ。もちろんプロフェッショナルとして進言させて頂く事は沢山ある。環境要素や、修景要素、利便性、快適性、空間的要素による雰囲気の変化、照明計画による演出性、消費電力に関わる話、等々枚挙にいとまはない。

比較的、社会性のある外観などは社会的な要素も鑑みながらお考え頂きたいとは思いますが、あなた様のご自宅ですから、お好きなように考えてください。
それをお手伝いする仕事ですから、手助けしながら考えるのはいっこうに構わないのですが、「こんな感じ好き」「こんな感じも好き」「一方でこんなのもいいんじゃないかな・・・」
さて迷路に入り込みました。それを整理するのが「デザインコンセプト」です。まあ、言わばあなたの「デザイン憲章」みたいなものです。

ただし「こうしなければならない」という事もない。例外のある憲章を作れば気が楽にそして纏まりのあるデザインにしていけるでしょう。

やがてSITEに「住宅デザインの進め方」でも掲載しましょう。

ヘビーメタルスタジオ付コンテナハウス

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写真はアルマーニイクスチェンジだが、ヘビメタの雰囲気を出す為に掲載した。

今度日本に居住する米国人の為の住宅を設計する。
ご夫婦だが旦那が「ロッカー」しかも「ヘビメタ」のロッカーだ。思う存分練習が出来るスタジオも欲しいらしくその依頼も含まれている。

普通の外観では飽き足らないのでと、御本人がレイアウト図面迄準備してきた。
コンテナハウスは防音室として可能かどうかという相談も含まれていた。防音は音レベルの「制振技術」でもある。音のインシュレーション技術についてのノウハウは、実は「船舶内装」の技術の中で大きく進んだ事をご存知だろうか。

船は水中のプロペラで水の流れを作りその推進力で進んでいるのが一般的な方法である。このプロペラで水をたたく時の水圧の変化が船体に伝わり、大きな音を出す。なにせ、巨大タンカーなどになればそのプロペラの直径は数メートルにもなり、それを回すエンジンの出力など27000馬力という途方もない力だ。そのエンジンの振動もものすごい。当社は「船舶内装」のノウハウを持っている。音としての振動の制振技術に関してもプロである。

ご存知のように「振動」は騒音である。その騒音を止めるのは「制振技術」という事になる。
実は「音」レベルの振動の制振技術で最も効果があるのは「重さ」である。重さは「振動エネルギー」を大きく減衰させる。そして次にその振動を伝えない「柔らかさ」も大きな武器になる。

その両方を使って音をコントロールする。
出来上がったらその効果をお伝えしよう。

料理は建築だ。そしてコンテナハウス。

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料理という世界は実は建築の世界に似ている。

根幹を形成する「基礎」があり、料理の世界ではそれは「出汁」であり、基礎の上に構築されて行く構造物は、料理でいえばその料理を構成する素材のストラクチャーだ。デザイン的な処理は、料理でいえば見目麗しいビジュアルである。

話は少々ずれるが、
この写真の野菜達は実は「コンテナの中で栽培される」=「コンテナ型野菜工場」で作られる野菜達である。クリーンルームで育てられた「きれい野菜」たちだ。洗わなくても心配するには及ばない。

台風が来ても、冷夏でも、猛暑でも、厳冬でも生産効率は落ちず、安定供給が出来る。
もうすぐデビューさせる「コンテナ型野菜工場」は、既に生産のノウハウを固め、安定供給をし、市場に出回らせているある企業が行う。私どもはそのコンテナを、また新たな構造方式(ハイブリッド構造体)で作り上げる。もうすぐ発表、新たなコンテナハウスの世界。このコンテナハウスはコストへの挑戦でもある。ただし「4号建築専用躯体」、ちょっとみそっかすの小建築用だ。

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栽培されたアイスプラント。シャキシャキ感がとてもいい。ちょっと塩味がある不思議な野菜。

2020年。年の初めに。コンテナハウス回想。

「コンテナ」をテーマに建築を初めてかれこれ20余年が経つ。その間大きな動きは平成19年の建築基準法改正の時だ。建築基準法は厳格化され(まあ、いい事だと思っている)、大きく世の中建築業界はシフトした。

その時に概ね「コンテナ」は使えなくなった。法37条の「JIS鋼材を使うべし」という部分でだ。いや、正確にはもっと以前からそうだったのだが、とやかく言う人は少なかったので何となくコンテナ建築というのは存在したのだ。作り始めてだんだん気づいて来たのだが、実はコンテナの有用性は一見LOHASな「中古利用」というリサイクルなメリットよりも、輸送用コンテナが築いてきた「世界中へのチェーンロジスティクスのメリット」の方が建築に取ってきわめて大きいという事実だ。

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その事は、建築の世界ではかつて「メタボリズム」というムーブメントがあった。『メタボリズム1959年黒川紀章菊竹清訓日本の若手建築家都市計画家グループが開始した建築運動。新陳代謝(メタボリズム)からグループの名をとり、社会の変化や人口の成長に合わせて有機的に成長する都市や建築を提案した。』(WIKI)

建築を学んできたものであれば、日本の建築家たちが生んできたこの概念が建築にとって大きな可能性を秘めている事を知っているだろう。そしてコンテナのロジスティクスを活かせれば、メタボリズム建築の可能性がかなり広がる事に気づくであろう。

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その実現化に向けてゆっくりとだが確実に近づき、システムを築き上げてきたのが当社のシステムだ。ハードルはいくつもあった。日本の建築基準法は極めて厳格だからだ。海外との協調でそれを超えて行くには強い意志が必要だ。

そのシステムは完成した。