ヘビーメタルスタジオ付コンテナハウス

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写真はアルマーニイクスチェンジだが、ヘビメタの雰囲気を出す為に掲載した。

今度日本に居住する米国人の為の住宅を設計する。
ご夫婦だが旦那が「ロッカー」しかも「ヘビメタ」のロッカーだ。思う存分練習が出来るスタジオも欲しいらしくその依頼も含まれている。

普通の外観では飽き足らないのでと、御本人がレイアウト図面迄準備してきた。
コンテナハウスは防音室として可能かどうかという相談も含まれていた。防音は音レベルの「制振技術」でもある。音のインシュレーション技術についてのノウハウは、実は「船舶内装」の技術の中で大きく進んだ事をご存知だろうか。

船は水中のプロペラで水の流れを作りその推進力で進んでいるのが一般的な方法である。このプロペラで水をたたく時の水圧の変化が船体に伝わり、大きな音を出す。なにせ、巨大タンカーなどになればそのプロペラの直径は数メートルにもなり、それを回すエンジンの出力など27000馬力という途方もない力だ。そのエンジンの振動もものすごい。当社は「船舶内装」のノウハウを持っている。音としての振動の制振技術に関してもプロである。

ご存知のように「振動」は騒音である。その騒音を止めるのは「制振技術」という事になる。
実は「音」レベルの振動の制振技術で最も効果があるのは「重さ」である。重さは「振動エネルギー」を大きく減衰させる。そして次にその振動を伝えない「柔らかさ」も大きな武器になる。

その両方を使って音をコントロールする。
出来上がったらその効果をお伝えしよう。

料理は建築だ。そしてコンテナハウス。

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料理という世界は実は建築の世界に似ている。

根幹を形成する「基礎」があり、料理の世界ではそれは「出汁」であり、基礎の上に構築されて行く構造物は、料理でいえばその料理を構成する素材のストラクチャーだ。デザイン的な処理は、料理でいえば見目麗しいビジュアルである。

話は少々ずれるが、
この写真の野菜達は実は「コンテナの中で栽培される」=「コンテナ型野菜工場」で作られる野菜達である。クリーンルームで育てられた「きれい野菜」たちだ。洗わなくても心配するには及ばない。

台風が来ても、冷夏でも、猛暑でも、厳冬でも生産効率は落ちず、安定供給が出来る。
もうすぐデビューさせる「コンテナ型野菜工場」は、既に生産のノウハウを固め、安定供給をし、市場に出回らせているある企業が行う。私どもはそのコンテナを、また新たな構造方式(ハイブリッド構造体)で作り上げる。もうすぐ発表、新たなコンテナハウスの世界。このコンテナハウスはコストへの挑戦でもある。ただし「4号建築専用躯体」、ちょっとみそっかすの小建築用だ。

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栽培されたアイスプラント。シャキシャキ感がとてもいい。ちょっと塩味がある不思議な野菜。

2020年。年の初めに。コンテナハウス回想。

「コンテナ」をテーマに建築を初めてかれこれ20余年が経つ。その間大きな動きは平成19年の建築基準法改正の時だ。建築基準法は厳格化され(まあ、いい事だと思っている)、大きく世の中建築業界はシフトした。

その時に概ね「コンテナ」は使えなくなった。法37条の「JIS鋼材を使うべし」という部分でだ。いや、正確にはもっと以前からそうだったのだが、とやかく言う人は少なかったので何となくコンテナ建築というのは存在したのだ。作り始めてだんだん気づいて来たのだが、実はコンテナの有用性は一見LOHASな「中古利用」というリサイクルなメリットよりも、輸送用コンテナが築いてきた「世界中へのチェーンロジスティクスのメリット」の方が建築に取ってきわめて大きいという事実だ。

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その事は、建築の世界ではかつて「メタボリズム」というムーブメントがあった。『メタボリズム1959年黒川紀章菊竹清訓日本の若手建築家都市計画家グループが開始した建築運動。新陳代謝(メタボリズム)からグループの名をとり、社会の変化や人口の成長に合わせて有機的に成長する都市や建築を提案した。』(WIKI)

建築を学んできたものであれば、日本の建築家たちが生んできたこの概念が建築にとって大きな可能性を秘めている事を知っているだろう。そしてコンテナのロジスティクスを活かせれば、メタボリズム建築の可能性がかなり広がる事に気づくであろう。

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その実現化に向けてゆっくりとだが確実に近づき、システムを築き上げてきたのが当社のシステムだ。ハードルはいくつもあった。日本の建築基準法は極めて厳格だからだ。海外との協調でそれを超えて行くには強い意志が必要だ。

そのシステムは完成した。

サービス付高齢者専用住宅とコンテナハウス

ジャパンシンドロームとコンテナハウス

超高齢者社会がやってきた。ジャパンシンドロームというコトバが生まれ、世界の先進国が、やがて自分の国にもやってくる状況として、日本の行く末に注目している。

高齢者の社会福祉についても色々な施策がとられているが、老人介護系の一つの取り組みとして「高齢者のための住居」を何とかせねばならないという取り組みの中に「サービス付高齢者専用住宅」というものがある。
ある基準をクリアすると国からの補助金も拠出されるという世界でもあるが、この「基準」をクリアさせてご高齢者用の住宅を設計すると、補助金で助けて頂きながら設計した物件でもなかなかの高級住宅になり、一般的な高齢者で「年金」などが生活の糧という方にはとてもじゃないが入られる家賃ではなくなる。

国の施策は間違っているのである。補助金などいらない、ある意味ご高齢の方にはこの程度の住宅を準備してあげたいという指針はいいのだが、現実に則していなけれ施策の意味がない。事実多くの「サ高住」に空き部屋が出ている。この「サ高住」はそして「デイサービス施設」などと連携されている必要がある。ただ住まわせるだけでなく、適切なデイサービスなどと組み合わされて、高齢者の生活のノーマライゼーションに寄与し、国家の福祉予算を低減させる効果を生み出さねば本来のこの施策の意味がない。

建築としての結論。
年金や生活保護で入所する事が出来、居住生活だけでなく、デイサービスなどの老人介護も受ける事が出来る施設の開発をせねばならない。これは非常に急務なのだ。

そして、そのソリューション。
ここでコンテナハウスが登場する。このサイトをご覧になっている方々は、当社のコンテナハウスが決してバラックなどではなく、「何処までもハイエンドなものまで作り込む事が出来るシステム建築」だという事を理解して頂いているだろう。そのひとつの解として当社は量産型「サ高住ユニット」をデザイン中だ。
少々細かな要求は聞きづらいが、画期的ローコスト専用構造体に、必要で充分な機能を搭載し、年金でサービスを受けながら生活が出来る。人間の尊厳を持ちながら人生の余韻を楽しむ事が出来る居住ユニットだ。

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組み合わせの妙もコンテナハウスならでは

コンテナハウスの一つの魅力は「組み合わせの妙」です。まるでレゴブロックを組み立てて行くように色々な構成を考える事が出来ます。

当社のコンテナは既に「システム建築」として開発されていますので、その事(組み合わせ)にとても自由度を持った設計思想で作られているところがそれをサポートします。

コンテナのユニットは必ずしもきっちり並べて行くだけでなく、コンテナとコンテナの間の空間を調整する事によって微妙な寸法にも対応する事が出来ます。このテクニックが敷地を上手に使いながらプランも自由自在に作り出す基本となっていきます。

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20FEETX7本で構成されたこのガレージハウスは1階に20FEETが縦に、20FEETの横幅をあけて配置され、2階に横向きにしたコンテナを4台90度振った状態で載せてある。

この1階の空隙が「ガレージ」として2カ所、シャッターがついている部分が「コンテナの空隙」の場所だ。空隙と言っても20FEETコンテナ2台分以上の空間があり、総合では13本分くらいの床面積を7台で作り出している事になる。

面積がある分それなりの建築費だが、坪単価で言うと、重量鉄骨なのに60万円台の工費だ。(2階の内装はクライアントのセルフビルド)

組み合わせのパターンは今までに色々と作ってきたが、無限に考えられる。比較的クライアント自身も参加出来る作業でもあるので、クライアントも楽しんで計画に参加してくれる事もある。

ハイブリッド生命体

コンテナは与えられたものではありません。
20世紀最大の発明の一つに数えられる「コンテナ」は一つの「概念」として生み出されたものです。もともと海洋輸送用に計画されたこのコンテナという概念は「物流の世界を激変」させ、もう一つの20世紀最大の発明「インターネット」と同じように世界中を席巻しました。当社はこの「コンテナの概念」をしっかりと抑え、今度はコンテナの世界と「日本における建築基準法の概念」と重ね合わせ、ハイブリッドな世界「コンテナ型建築構造体」を作り出したという事です。

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世界最大のコンテナ船(EMMA MAERSK)     コンテナはこの船会社の発明とされている

物流の世界の「貨物そのもの」の一つに「建築資材」のジャンルが大きく締められています。建築物はフィジカルなカタチと重さを持った実在として構築されて行きます。当然それらが運ばれて行くとき「コンテナ」に入れられ運ばれるシーンはとても多いのです。

コンテナハウスの一つの概念は「建築資材を極力無駄に運ばず作り上げる」事も思想の一つに入っています。工場に集中して資材を集め、アッセンブリーした後に「コンテナそのものとして建築のユニットを運ぶ」事によって、無駄な動きをセーブする事が出来るようになります。結果として「物流コスト」の低減に役立つ事が出来るのです。

サスティナブル建築としてのコンテナハウスはそんな部分でも参加しているのです。
コンテナのロジスティクスシステムを利用しながら建築を作るという概念まで気づいている方はコンテナハウスの世界ではまだ少なく、当社はその概念を広げながら新たなジャンルの建築システムを完成させて行こうとしています。

移設可能カフェ_一つの定番プラン(20FEET_highbrid_plan)

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コンテナハウスでカフェをやりたいという希望は多い。
比較的ローコストで建設出来そうだということと、敷地の状況、廻りの環境が建設時と変わって、立地として適当でなくなった場合に移設が可能かも知れないという期待、あるいはそのビジュアルも、ある種のテイストのカフェには適当ではないかという期待からだと考える。

この例はかなり積極的な意味で「可動性」に期待をされている。実際に3〜5年程で他所に移設の計画があるからだ。その時の再生率は金額にして70%程度。さすがに地中埋設分の基礎や設備は持って行く訳にはいかない。

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プラン的には20FEETのコンテナを両脇に配し、その間を梁で繋ぎ、在来工法で屋根を掛けコンテナ間も室内化している。
これによって、コンテナは2本しか使っていないが、4.5本分の空間を創り出している。
すなわち、2.5本分はコンテナを使わずに空間を創り出している。4.5本使うよりも少々ローコスト化は出来る。

それに加え、カタチとしての変化もつけられるのでデザイン的にも面白い効果が出せる。
開放的な大空間が出来る事もそれを助ける。

我が社ではこれを「ハイブリッド工法」と呼んでいる。工期は約3週間。
すべてコンテナで作るプランよりも、現場工事が増えるので少々工期はかかるが内装工事並みの工期である。工事費も内装工事並みである。

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SUPER_COMPUTERとコンテナ

サーバー用筐体としてコンテナハウスは注目されている。

それを始めたのはgoogle。コンテナ40FEETの中に最大1,160台のサーバが収納可能とし、実装後に搬送も可能である。データセンターを作る為には今まで建築物の中に格納する為建築の工期が1年以上もかかっていた。

googleのコンテナに格納されたサーバーは、建屋の中に置かれているが、理想型としてコンテナそのものを格納本体として、拡張、入れ替え、など臨機応変にデータセンターを構成出来る。

一般的サーバーでもそうだが、東京工業大学のスパコンをコンテナに格納したものがこれ

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油浸(冷却油)につけ込まれたスパコンが収まっている。

このような場合、実はコンテナは「建築確認申請」を必要としない。それは、非常時以外人が入る事はない「居室」ではなく、機械を入れる為の「容器」という考え方が成り立つからだ。建築としても成り立つコンテナだが、この場合はコンプライアンス上も問題ないので「建築確認申請」を出していない。

法第2条第1号に規定する貯蔵槽その他これらに類する施設として、建築物に該当しないものとする。というジャンルが適用される。
プラント系コンテナハウスの場合もこれが適用可能なものは多いかもしれない。

国土交通省の見解はこちら。  国土交通通達

コンテナは海を越えてやってくる

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コンテナの工場はすべて海外だ。

中国、韓国そしてタイ。最大の供給国は中国。それぞれに特徴があり使い分けています。
コンテナが持つシニフィエ(意味内容)には多くの言語が隠れています。それゆえ様々な人々が「素材」としてコンテナを色々なものに利用したいという欲求に駆られてくるのだろうと思います。

カタチあるものをデザインすると、そのモノにはある種のコード(言語コード)が含まれて行く事になります。建築家やデザイナーはその形態言語を読み解きながらデザインをして行くのです。

コンテナというコトバにいったい何が含まれているでしょう。横浜や川崎の海岸線に積まれたコンテナを見て何を思いますか?海を渡って届いた荷物。食材だったり、機械の部品だったり、衣料品だったり、怪しい荷物だったり、そのコンテナにはある事業家の夢が詰まっていたり、明日の渋谷に賑わいをもたらす、カッコいいトレンドの服が入っていたり、その積まれたコンテナの陰では反社会性力自身の戦いが行われていたり(考え過ぎ?)想像する方によってとても様々な情景が浮かぶのでしょう。

クライアントの希望を聞きながら住宅や商業施設や、プラント系のコンテナなど様々なコンテナ建築をデザインして行きますが、設計され、製造されたコンテナは「海を越えて」やってきます。なんだか少し面白い感覚を覚えます。時代は今やインターナショナルですが、建築の仕事というのは、設置される敷地の状況や地域の特性に合わせてデザインされて行きます。

Think globally, act locally.

というコトバがあります。時代はまさにそういう状況になり、世界的視野で物事を考え、地域の事を重んじながら実際に動かないと時代に即応した結果を得る事は出来ません。

コンテナが海の向こうから運ばれて来る度にその事を思い出しています。

スマートコンテナを支える構造体

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例えばこのコンテナは「ラーメン構造」という(剛構造)という形式で作られています。ISOコンテナとは違った構造形式です。柱と梁が溶接で十分な強度で接合されている為、柱と梁のみで強固なボックスを構成しています。当社のコンテナは基本的にはこの構造方式をとっているのです。

この構造方式をとると、窓や出入り口が好きなところに取る事が出来ます。壁を構造としてカウントしていないからなのです。このガラスのコンテナはTBSの赤坂サカスに設置されています。時には飲食店に、時には車のショーケースにと季節によってその用途が変わっています。用途が変わるたびに、システム設計されているこのスマートコンテナの場合、出入り口さえ場所を変えたりしながらその時の動線に合わせてその取り付け位置すら変更可能なのです。

稼働に加え、プラン変更なこのコンテナ、ガラス張りなので少々お値段は張ります。