界隈性の卓越化(ディスタンクシオン)によるタウンハウス_コンテナハウス

卓越化(ディスタンクシオン)

すべての人間は、自分に先んじて存在する社会の中に生まれ出て、その社会の規範にしたがって社会化される。しかし、もしこのプロセスが完全であればわれわれは単に社会を機械的に再生産することになり、歴史は動かないことになる。われわれは社会に同化しながらも他者との差異を保つことによって自己同一性を保とうとする。この他者から自分を区別してきわだたせることを卓越化と呼び、これが階級分化と既成階級構造の維持の基本原理となる。

distinction(ディスタンクシオン) なるものが実は差異であり、隔たりであり、弁別的特徴であり、要するに、他の諸特性との関係においてしか、またそうした関係においてしか存在しないような、関係的特性にほかならないということを示すために選ばれたものなのです。

卓越化は、いわばデリダの差延(diff*rance)のように、空間的な差異のみならず、時間の軸に沿った差異をも誘導し、差異の時空間を構成する。しかも差異と差異の間にも微分的に分節化された差異をも生み出す。

フランスの社会学者 ピエールブルデューのいう「卓越化」の概念である。

人々が心地よく社会の中で生活し、建築空間の中で過ごすとき、実はこの概念は建築をデザインするものにとって非常に重要な概念となる。差別化ではなく卓越化。

タウンハウスとコンテナハウス

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写真はタウンハウスやテラスハウスの原型_デタッチドハウス イギリスの典型的都市型住宅様式である

現在の取り組みテーマは「低層集合住宅」。その中でも「タウンハウス」とか「テラスハウス」と呼ばれるジャンルに取り組み始めた。建築基準法上は「長屋」と呼ばれる。ちょっと前時代的なこのネーミング。それぞれの家屋へのアプローチが、共用の廊下などからではなく、独立しているアプローチを持っていることが要件だ。このテーマはかねてより取り組みたかったテーマだ。都市の周りを形成する居住地域は低層の建物が主流となる。都心ほど高度に土地を使わず、適度な空地とライズを押さえた構成で快適な住環境を保護する事も目的だ。

分断されてしまった土地を集約する事は超積極的なフォース(基本、ディベロッパーなどの開発)などがなされない限り難しくなって行く。比較的緩い使い方のサバーブスでもそれなりのまとまりがあれば「低層集合住宅」などで住環境やコミュニティースペースを確保した豊かな住環境が作れるのだが、第一種低層住居専用地域などになると、区分された所有土地同士の間にも「外壁後退」などの規制によって中途半端な無駄な空間に敷地が取られ、いよいよ狭小な住宅になるなどという、本来の目的と違う方向に規制力がかかる事になったりすることもある。タウンハウスの具体的な利点はその無駄な空間を省く事が出来る事などもその一つという事が出来るだろう。

今そこにある危機、とコンテナハウス

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なかなか秀逸な邦訳でありましたこの映画のタイトル。原文は「CLEAR AND PRESENT DANGER」直訳は、「明白かつ現在の危機」となる。

コンテナの世界で明白でかつ今そこにある危機は、東北の震災にかこつけて「粗悪なコンテナハウスが横行している」ことだ。緊急な事態だから「建築基準法」のことは少々甘く考えてもいいのではないか、あるいは、とにかく早く必要なものを届ける事の方が先決なのではないか・・・・・。などと法を無視した考え方が蔓延している。いいのか。

この問題はそう遠からず、大きな問題として顕在化し社会的な問題になる。なぜなら、かつて「コンテナ倉庫」で問題になり、その事を国土交通省も明確に文章にし、はっきりとした方向を打ち出した経緯があるからだ。その決断には理由があった。そのまま放置する訳にはいかないからこの決断がなされたのに、このまま放っておけば、やがて同じ問題が生まれてくる。災害も余震的であっても大きな地震が再来した時に、ダメージを受けるコンテナハウスが出てくるだろう。

一方、国土交通省は、米国の圧力で「コンテナ」をサーバールームとして使う「コンテナ型データセンター」に関しては、「容器」という考え方を取る事によって「コンテナデータセンター」は「建築ではなく容器」との考え方を出した。それによってISO輸送用コンテナは「コンテナ型データセンター」として使えるようになったが、実際の所、使用上は様々な装備の搭載に大きく加工が必要なので、ISO輸送用コンテナを改造して使う事は非現実的で実際に使われているケースはあまりない。この場合、実質的にも「窓を明けたり」はしないから強度にも大きな問題は生じない。

「コンテナハウス」の場合、居住性を高める為に「開口部」を沢山取ることになる。これが素人に取ってまずい事なのだ。ISOコンテナはそのまま使えば充分な強度を持っているが使えない理由は別の所にある。しかも「その強度は閉ざされた窓のない壁」によって作り出されたものであるから、開口部を無造作に明けるという事が命取りになるのだ。急激に強度を失い「危険な箱」となる。最悪でもまともな「建築士」であればその事に気づき補強などを入れるだろうが、「なんとなくオレ知ってるもん」という方々が考えるコンテナハウスはそれはそれは恐ろしい(爆)。

そのような影響を受けない「剛構造」のコンテナを作る道を知っている人間がその辺にいる訳も無く、建築家たちが好んでテーマにする事も少なく、野放図にされ「既にそこにある箱」だから素人には利用しやすいコンテナは、格好の改造素材にされ、コンテナハウスの将来に危機を作り出している事を危惧しているのは私どもだけかも知れない。なぜなら「WEB」に掲載されている「コンテナハウス」の数は震災後急激に増え、多くのなんちゃって建築?法人がそれに取り組んでいる様子が見えるからだ。そしてそのHPの中に無断で当社の写真が使ってあったりする。ワオ!そんなことしてまでやって行きたいのか・・・・。そのように誠に遺憾な状況を呈している。面白すぎ、を通り越して来たので、「いまそこにある危機」に対して、チクッたりする趣味はないけれど(爆笑)、とりあえず純粋にその危険に対して、あなた方を仲間ともライバルとも、同業者とも思った事はないけど、遵法に反する、軽い考え方と、事実危険な事はやめた方がいいのではないかという警鐘を発しておきたい。

フツーから超過激まで、コンテナハウス。

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表現の自由はどの場で行おうとそれも自由だ。
住宅は基本の機能は「安全に明日の英気を養う場所」と考えるのはわりと普通であろうから、そう考えた場合、出来るだけフツーのデザインでいいのだろう。

ただ人生はそれぞれの人間の特有のものなので、様々な多様な生き方がある。それゆえ、非日常的な空間を好まれる方も存在し、その事は別にその方の人生なのでとやかく言う筋合いではないし、逆にそのような方が廻りの方にいい影響を与える事もある。

わたくしども建築家は言うなれば「オトコ芸者」(爆)のようなもので、お座敷がかかれば飛んで行ってクライアントのご要望を満たす為にプロフェッションを発揮するのが仕事である(爆)。そのとき反社会的な事を望まれれば、それはお断りしなくてはならないが、そうではない自由な表現の発露に関しては、お手伝いするのが我々としてもプロとして喜ばしい事である。

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なので、フツーの家から超過激なものまでコンテナハウス何でもご相談にのります。ただ一般的に言って、フツーからはなれれば離れる程コスト的にはアップして行く事が多いのは否めないという感じです。
写真の家は、建築には一般程度のコストですが、調度品に関してはご自分のセレクトによるものなので、価格は存じ上げません。しかしながら世界中からコレクションされていた事実は存じ上げていますので、相当熱心に探さねば、それもある一定のキーワードで各階揃えていらっしゃるので、モノのカタチとその性質を見抜くチカラに長けたクライアントであることは事実です。

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コンテナハウスのABC

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コンテナハウスについてのABCを時々繰り返し書いておきます。

1.当社のコンテナハウスは中古コンテナの改造ではなく、建築用に開発したコンテナをその度に製造しているオーダー型ですので、建築基準法をきちんとクリア致します。

2.都市計画区域外で「建築確認申請」が必要でない地域が存在しますが、基本「建築確認申請」が必要ではない建築物は存在しませんので、建築確認申請をいたします。・・・・なので「建築確認申請というのは必要ですか?」と聞かないでください。

3.中古じゃなく新造である事に起因するものかどうかわかりませんが(本当は起因しないと思っていますが)、当社の建築は基準法を守り、それ以上に使われる方の事を考え、それなりの仕様の建築物として作りしますので、常識をはずれたような価格で提供する事は出来ません。—–つまり、坪28万(どんな家ですか・・・・・)で出来るとか、そんなTVコマーシャルのような価格では出来かねます。大体60万/坪〜200万/坪(爆)です。コストダウンには常時取り組んでおりますので、ここ数年は製造努力によりまして、円安傾向にも負けず、ダウン傾向を続けています。

4.当社のコンテナハウスは全国で施工を可能にしています。離島にも臨んでいますが、その場合、完成させたものを船にて運びますのでコンテナが乗せられる船が出ている島が限界施工域でございます。

5.国外施工も可能な場合臨んでいます。ご相談ください。モンゴルには行きたくありません。(爆)

6.「準耐火建築」をノーマルでクリアします。

7.「耐火建築仕様」も出来ますが、ビジュアルで「コンテナテイスト」を望む方はムリです。(耐火被覆でコンテナには見えなくなってしまいます)

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この場所にとどまっていたかったら、全速力で駆け抜けるのよ!(不思議の国のアリス)

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上記スケッチは、いつか作りたい当社の研究開発施設のスケッチである(爆笑)。建築の研究施設が無いようにも見えるが、そんな事はない。しかも割とこじんまりしている(爆)。建築とは「あらゆる棲息活動」の事である。したがって人生そのものが建築なので、どこにいても建築の研究は出来る。「物理学や技術を背景にした文学」だと信じているので、そうだ、図書館はやはり作りたい。

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不思議の国のアリスに登場しそうなこの空間は、例の4階建ての建物の中にある。

空間は実は「機能に縛られなくてもいいのではないか」。とでも言いたいようなこの空間は、実在の空間である。
でもなんだかカッコいいのでこんな感じの家作ってくれませんか、という方が時々いらっしゃる。

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世の中を全速力で駆け抜ける事によってこの空間にとどまる事が出来ます。

謎なこの言葉は、常に全速力で駆け抜ければ、その場に居続ける事が出来るという先端の意味を指すのだろうか。
「がんばらない生き方」とはまた別の生き方のようである。

ヘビーメタルと、いわゆる一つの存在のあかし。コンテナハウス

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束縛という言葉の反意語は自由だ。また、全ての色(イロ)に「補色」という、コトバにおける「反意語」のような逆説色が存在する。カラーサークル(色彩環)では、ちょうど180°反対側に位置する色同士だ。そしてそれらはお互いの言葉や色を補足し、その意味を深く掘り下げるきっかけや、加速させるアクセラレーターとなる。空間の表現においても、その効果と手法は成り立つ。

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鉄壁の守りと解放。きわめて反意的なこのコトバは、情念の緊縛と解放が紙一重である事を示す。

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守りと解放は常にアンビバレンツな空間として存在する。

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ヘンゼルとグレーテル。欧州の森が好きだ。樹影深きその結界にも似た明と暗、善と悪、光明と暗闇、暴露と隠密、解放と禁固、爽念と邪念、攻撃と守備、フカイフカイモリノナカカラデテイクノハイマダ。

存在とは、反意的な拮抗空間の中にある事を納得させる。

ヘビーメタルとコンテナハウス

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昨今の草食男子のことは知らないが、私どものボキャブラリーとして男子たるもの「ヘビメタ」と「ブラック」、「バイク」と「自由」を愛し、そのことを「ROCK」と言う。(爆笑)

鉄のように重たく、冷たく、時には熱く、固いものが好きだ。(爆笑)

ただ何となく、ガレージの中に置かれた「不思議」なものたち。この「モノ」に潜んでいるボキャブラリーこそオトコの本質を物語る。「モノガタル」という言葉が持っているニュアンス。それこそ「モノ」の裏に潜んだ「オマエのホンシツ」なのだ。

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ガレージに置かれる「モノ」は、雑然と置いてあるようで実はきっちりと「機序」が存在する。「ヒエラルキー」と呼ばれるこの機序は、「ダイジナモノのジュンバン」のことである。「あなたの頭の中、胸の中に存在するダイジナモノのジュンバン」はあなたの人生の結節点で決断のトリガーにもなる。

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「黒い色は」「色がない」事を示す。色がない事は「全方向」を指し、方向を定めず走り出す。

それがROCKであり、「コンテナハウス」だ。

砂・そのデザインとコンテナハウス

当社の若いデザイナーがデザインした「Rの壁」に使われたガラスチューブと「砂」。砂の種類によってなにがしかのメタファーが表現されている。これは診療所の内部にある壁であるが、その診療所は別所で7年間診療を行ってきたが、移転をし、新たな診療所に移転する。その移転先の新診療所の壁のデザインである。過去の7年間の診療の時間を「砂(砂時計)」と地層のような「重なり」で表現しているようにも見える。自然素材にこだわったこの診療所では化学成分を出来るだけ持たない建材で作り込んである。白いインテリアの中にこの壁だけが「自然」の素材の色を持っている。

砂もガラスも、表現を変えれば違った見え方をしてくる事を知らせるデザインでもある。地層をガラスチューブで切り取ればこのようなサンプルを作れるかも知れない。その事を設計家たちは知っている。なぜなら地質調査時のボーリングをしたときの「地質見本」で記憶があるからだ。

コンテナボックスも、連結をし、積み上げ、空間に機能を与えれば違った見え方がしてくる。輸送用のボックスが建築空間に変わってくる。そしてより完全に建築基準法をクリア出来るようにシステムアップして、製造環境を整え、使用材料を遵法化し、構造的な最適化をしていけば「システム建築」となる。

見る場所、立ち位置、考え方、使用方法の転換は、「モノ」に新たな側面を作り出す。

少し話をしよう(コンテナハウス)_メタデザインについて

「メタ・デザイン」という概念を当社ではざっくり言うと(大きな概念的要素)という意味で使い、反意語は「コンタクト・デザイン」とし、(細やかに最適化させるための要素)という使い方をしている。

「メタ・デザイン」は「概念形成ツール」として理解するには次の4つがセットとなった概念と考えられている。

  • 抽象概念レベル(抽象概念・言語・手段的思考の構造と限界を理解する能力)
  • 図解と位相幾何学的思考(位相幾何学的な理解に支えられた、図像的な思考とデザインの使用)
  • 手順を示す(手続き型の)デザイン(ゲームやロールプレイ、さらには手順を示す様なデザイン・アート・建築のように、手順を用いることで現実性を創造すること)
  • 発生/出現(絶対的なコントロールの欠如と、意図しなかった結果や予期しなかった結果を利用する能力)

コンテナハウスにおける「メタ・デザイン」の要素のチカラは大きい。思想的な部分を置いて、スケールなどの物性だけにしぼって考えてみると「定められた枠としてのサイズのルール」これがまず一つの規範である。

その次に「Logistics_container」としての役割を果たす為の「緊結ルール」のための「固縛要素としての装置ルール」という規範が存在する。あとは「コンテナが持つべき強度」の規範があるが、「建築用」として開発しているため、ここは別のルールを適用する。建築用ルールを適用しても「Logistics_container」としての強度は保っているために問題は起こらない。

20FEETサイズは2438mmX6058mmX2591mm_又は、2438mmX6058mmX2896mm。40FEETサイズは2438mmX12192mmX2591mm_又は、2438mmX12192mmX2896mmという主な4つのスケールが主なスケールということになる。これを当社では「メタスケール」と呼ぶ。

メタデザインとしてのこのメタスケールは言うなれば「共通言語」だ。上記を仮に順番にA,B,C,Dという名前をつければA<仮>と呼ぶとすると、そのA<仮>は世界中でA<仮>があるスケールを指すこととなる。

A<仮>は2A<仮>を並列状態の20FEETコンテナとするならば、低めの20FEETコンテナが2つならんでいる様子を指すこととなる。

共通言語の要素を根本に持っている事の強みは実は計り知れない。そのことには少しずつ入って行こう。

実は「メタデザイン」はコンテナのこのサイズの事だけを言うのではない。何かをデザインして行くときの鳥瞰的規範の事も指している。つまり、個々のデザイン案件に適用される「コンセプト」のことでもある。

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当社のコンテナシステムはツリー構造ではなく「セミラティス」構造を目指して作られている(デザイン概念のことで建築としての「構造体」の話ではありません)。
それは「メタデザイン」が本来持つべきデザイン構造だからです。

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もちろん都市もツリー構造ではなくセミラティス構造である事はすぐに理解出来ます。

メタデザインの思想構造は実はコンピュータでいうところの「OS(オペレーティングシステム)」に似ていると考える事が出来ます。当社のコンテナハウスには当社のメタデザイン(OS)が作り上げられているのです。そしてそれは汎用性のある部分です。当社のは言うなればLINUXのように開放されたオペレーティングシステムとして構築しようとしています。

つづく(2020/04/06)
メタデザインとコンタクトデザイン