コンテナを使って○×に利用するという発想。その事自体は悪い事でないし、むしろ一つのアイデアとして面白い発想です。私どもも、かつてはISOコンテナを改造して楽しんでいた。今ある不用のものを使って新たな命を吹き込む事も「エコロジカル」な思想の代表格という事は出来る。また、ある意味「コンテナを利用してこんなものを作っちゃた!」というのも驚きの一つとして存在する世界だ。
しかしながら、人の命や財産を守る空間として存在する建築には、法治国家日本として、その安全性の水準を高く守らねばならないという責務があり、それが「建築基準法」というカタチで存在している。コンテナであろうが、何であろうが人が生活したり、活動したり、それらの拠点とするものは「建築」と認識される。具体的なポイントは設備系の繋ぎ込みだ。(電気設備・給排水設備)。生活のベースとなる「インフラストラクチャ」が繋がれていれば、継続的に使う為のもの=生活拠点・活動拠点=居室=建築物。という考え方だ。なるほど、国土交通省も色々考えて「継続的に使っている証」とは何かを考え抜いてみたのです。そしてその事は割と説得力があるように聞こえます。
国としては「建築物とは何か」を明確にして世に向かわないと、いい加減な対応になってしまうから重要なポイントだ。では、そのような使い方「継続的に居室として使っている」場合は「建築物」である。と認識されると「建築物なので、国内の法律である<建築基準法>を適用します」という事になり、基礎を作って緊結しなさい。また使用する材料については、建築基準法第37条によってJIS材またはJAS材、または大臣認定材料を使いなさい。という法律が適用される事になり、建築士にある程度まかされた「4号建築」の場合もその建築基準法第37条は外された訳ではなく、建築主事の裁量にゆだねられるのでしょうが、この法律の縛りは残るのです。
ISOコンテナは日本国内では作られておらず、すべてのISOコンテナはこの建築基準法第37条を外れる事になります。ここが問題なのですが、担当の行政の「建築主事」がOKを出せば大丈夫です。そしてこれは「行政」によって結論は違います。我々が「業」としてコンテナ建築を進める時はこのファジーさは命取りです。それゆえISOコンテナで建築を進める事はやめました。ビジネスとしては危険すぎるのです。建築主事が常に「OK」を出すものでなければならないのです。それを分かっていらっしゃらないコンテナ改造屋さんは未だに「誰がISOコンテナを使うと不法といっているんだ」などと、子供のような事を申されます。
我々は唯一の回答である「常にOK」でなければプロフェッションにかかわるのです。それゆえ必ず建築確認申請」を通る躯体を開発致しました。開発するという事を決めたトリガーは、構造形式もあるのですが、決断した最後の一点は「建築基準法第37条」なのです。それをクリアーした躯体は実は、国内であればすぐに可能ですが、それを国外の「コンテナ工場」で製作するということにするにはハードルがいくつもありました。 そのハードルについては語りません。そこは実はPAT.を取るよりも苦労した部分で、まさにこれが「肝」の部分だからです。物理的にもこのハードルを最初から超えようとすると「5年」はかかります。今更20年間の努力をしながら当社を追いかけるのは一般的に大変です。そしてその事は「参入障壁」そのものです。
オンリーワンのナンバーワンを目指して走り続けます。