ゲニウスロキ(genius loci=建築の地霊)とコンテナハウス

「建築の地霊」といっても、イタコ(爆)の話ではない。土地が持つリージョナリティーに対するマッチングの話と思っていただけばいいだろう。

建築は「土地」あるいはロケーションあってのものである。当社のコンテナハウスは「設置後」でも「移設」が可能である事が一つの特徴であるが、トレーラーハウスではないので、積極的に動き回ろうというコンセプトではない。その可能性がなかった建築に対して、いざという時の可能性、あるいはその動体性能が持つ「増築性」また逆に「減築性」「移動性」「サスティナブル性」などの新たな価値を付与しようというものである。

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その事と、リージョナリズムが双反するものだとはわたくしどもは考えていない。コンテナハウスのコンテナは実は「コンテナ構造体」と考えていただければいいだろう。最もシンプルな場合、コンテナ構造体がそのままビジュアルとして現れていて、「コンテナが建築になっている」状態に見える。

実際にコンテナ建築システムの中で、最も根幹をなしているコンテナ部分は概ねすべてが構造体である。建築基準法的にはその「柱」と「梁」だけが構造計算上カウントされ、壁や屋根は計算に付加されておらず、「より強くしてくれる要素」としか見ていない。しかしコンテナの現実の建築の中では「壁材」も「屋根材」も構造強度には寄与している。

その構造体に「断熱性能を持った外壁」や、「やはり断熱性能を持った内装工事」、「空気循環をする為の空気層」を作ったり、地域の土着的建設資材を使い、ビジュアル的にも地域性を醸し出したり、プラン上もその地域が持っている民家の伝統的プランを取り入れたりする事によって、地域文化への同化あるいは同期を考える事もある。

文化はある一定の状態で固定化されるものではなく、変化をして行く。その変化が一般的には「進化」とされる場合が多いが、考慮が足りなければ「退化」という事にもなる。コンテナハウスのビジュアルや組み合わせで出現するプランは実は限りなく広がる。それらを我々は「メタデザイン」というコトバと「コンタクトデザイン」というコトバでくくり分けしながら、日々進化していく文化の様相に対して、そのソリューションの一つとして、提案出来るスタイルを作り上げて行こうとしている。

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コンテナハウスのデザインコード

コンテナハウスのデザインコード

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デザインのコード (code)      記号・暗号・規約などと訳せば意味は分かるだろうか。

デザインのモード(mode)      見せかけ、道、外観、マナー、ショー、モード

デザインのノード(node)    接点・結節点・節

デザインのオーダー(order)            秩序・指令・順位・体制 などと言えばニュアンスはわかるだろう

デザインされた空間であるかどうかを見極める超重要語句である。

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どのような方向であろうとこれらの語句で空間を見たとき、
それらにある一定の「機序」があれば
明らかに「意思」が入った空間である事を理解出来る。

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コンテナハウスであろうが、コンクリートの空間であろうが
それらをコントロール出来たとき
ある種の「驚き」や「感動」、あるいは「意思」を伝える事が出来る。

私どもは「デザインされた空間を作る」を目指している集団です。
コストコントロールをしながら、リーズナブルなデザインされた空間を作ろうとしていますが
貨幣的な価値の意味合いで「安い」ものを作るとしている訳ではありません。

かぎりなくISOコンテナハウスに近い遵法コンテナのデザイン

詳細は語れない(爆笑)が、限りなくISOコンテナに近いのに日本の建築基準法をクリアするコンテナを開発した。つまり低価格バージョンだ。「中古コンテナでも確認申請は通せるんです」という方もいらっしゃるが、本当にそうなのか・・・。正確な回答は「通せる時もあるが、通せない時もある」が正しい回答だ。その訳すら知らない設計者には頭が下がる思いだ(爆笑)。まあ、その事はWEBのあちらこちらに書いているので割愛します。

ところが、ついに当社は「概ねISOじゃん」というコンテナで、日本の建築基準法をクリア出来る(インチキなしに・・・)コンテナを今回デザインした。ただし、原段階では少々条件があり「平屋専用」でかつ「連結開放タイプには使いづらい」それ以外の場合は、従来からの当社がデザインした「剛構造=ラーメン構造」のコンテナを使って頂かないといけない。当社では別名「みそっかすコンテナ」と呼んでいる。しかし、輸送用ISOコンテナと違い確実に日本の建築基準法を守れる遵法コンテナだ。

下記のタイプだが、もちろん肝の部分は「モザイク処理」してある(爆笑)。特許取る迄は非公開でございます。

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現在考えている用途は「プラント系」と「老人介護系」そして「単独成立型プランの場合」である。今迄の「剛構造=ラーメンタイプ」は今後も主流である事は間違いないが、それが少々「もったいない」ケースも出てきたので新たな手法の導入に踏み切った。

このタイプの「サービス付高齢者専用住宅」には大きな期待をかけている。破壊的価格で供給出来る可能性が出てきた。超高齢者社会日本の明日の構築に寄与出来る可能性は大だ。

誰も追いかけられない場所まで走っていきます。

コンテナハウスはコンテナっぽくない時もある

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コンテナハウスはみな「コンテナ」っぽいかというと、そうではない作りも簡単だ。

仕事が詰まって、スタッフ共々ドタバタと仕事をこなしているときも活気があり、何かが作られて行く様をそのまま表していて楽しい。また同様に、あるいは反対に、少し目の前に迫った仕事の事を忘れて、一人でアトリエで勝手な仕事をしている時が最も心地よい。(それでもやっぱ仕事してるのか・・・)。

建築は実はテクストだ。「最も文学に近くて遠い物理的構成物のレトリックの世界」だ。つまり建築物を造る事は「物語を書く事」に概ね等しい。それは「ある一つの世界」を描く事になる。独立した物語りなのか、周りの状況に溶け込んで行く環境一体型の拡散型世界なのかそれは設定によることになるのだが、建築家の作業は小説家のそれに似ているように思えるのである。

構成の方法をよく、言語論的アプローチ、あるいは構造主義的アプローチを試みる。一方で建築も総合芸術の一つのジャンルであり「わたくしたちの中に潜む自由な表現の発露」を具現化する事が建築としての表現の一つであろうとも信じている。その構成のアプローチやマニエラが仕事の質を決定づけるものでもない。

アートとして考えた時、クライアントの存在が消失してしまう。故に昨今の私どもの仕事は「作品」ではないと考えるのが正しいし、「私どもは作品主義ではない」と公言している。つまり仕事に関しては「顧客主義」を貫いている。しかし、気弱な言い方をするならば「アート的要素」には建築は満ちていて、その要素を抜きに仕事に臨むことは出来ない。

一人だけのアトリエでは、時間すら自由に流れて行く。流れて行っていつの間にかなくなってしまうが(爆)心地よい倦怠感の中で、あんなことや、こんな事(謎)を考えていると、明日への希望や勇気やアイデアが生まれてくるのである。

話はもどり、コンテナっぽくない作り。
アノニマスに近いリージョナル建築デザインコードをいかに自分の中で消化し、人のために仕事の中に埋め込んでいくか。そのコードは、ギリシャ(爆)。ミコノス、白&ブルー、しっくい、手作業、まあるいデティール、地中海イメージ。そんなシナリオを経て出来たのが、外壁を覆い隠し、モルタルで塗ったこのコンテナハウス。そんな事も出来るのである。

料理は建築だ。そしてコンテナハウス。

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料理という世界は実は建築の世界に似ている。

根幹を形成する「基礎」があり、料理の世界ではそれは「出汁」であり、基礎の上に構築されて行く構造物は、料理でいえばその料理を構成する素材のストラクチャーだ。デザイン的な処理は、料理でいえば見目麗しいビジュアルである。

話は少々ずれるが、
この写真の野菜達は実は「コンテナの中で栽培される」=「コンテナ型野菜工場」で作られる野菜達である。クリーンルームで育てられた「きれい野菜」たちだ。洗わなくても心配するには及ばない。

台風が来ても、冷夏でも、猛暑でも、厳冬でも生産効率は落ちず、安定供給が出来る。
もうすぐデビューさせる「コンテナ型野菜工場」は、既に生産のノウハウを固め、安定供給をし、市場に出回らせているある企業が行う。私どもはそのコンテナを、また新たな構造方式(ハイブリッド構造体)で作り上げる。もうすぐ発表、新たなコンテナハウスの世界。このコンテナハウスはコストへの挑戦でもある。ただし「4号建築専用躯体」、ちょっとみそっかすの小建築用だ。

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栽培されたアイスプラント。シャキシャキ感がとてもいい。ちょっと塩味がある不思議な野菜。

コンテナは海を越えてやってくる

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コンテナの工場はすべて海外だ。

中国、韓国そしてタイ。最大の供給国は中国。それぞれに特徴があり使い分けています。
コンテナが持つシニフィエ(意味内容)には多くの言語が隠れています。それゆえ様々な人々が「素材」としてコンテナを色々なものに利用したいという欲求に駆られてくるのだろうと思います。

カタチあるものをデザインすると、そのモノにはある種のコード(言語コード)が含まれて行く事になります。建築家やデザイナーはその形態言語を読み解きながらデザインをして行くのです。

コンテナというコトバにいったい何が含まれているでしょう。横浜や川崎の海岸線に積まれたコンテナを見て何を思いますか?海を渡って届いた荷物。食材だったり、機械の部品だったり、衣料品だったり、怪しい荷物だったり、そのコンテナにはある事業家の夢が詰まっていたり、明日の渋谷に賑わいをもたらす、カッコいいトレンドの服が入っていたり、その積まれたコンテナの陰では反社会性力自身の戦いが行われていたり(考え過ぎ?)想像する方によってとても様々な情景が浮かぶのでしょう。

クライアントの希望を聞きながら住宅や商業施設や、プラント系のコンテナなど様々なコンテナ建築をデザインして行きますが、設計され、製造されたコンテナは「海を越えて」やってきます。なんだか少し面白い感覚を覚えます。時代は今やインターナショナルですが、建築の仕事というのは、設置される敷地の状況や地域の特性に合わせてデザインされて行きます。

Think globally, act locally.

というコトバがあります。時代はまさにそういう状況になり、世界的視野で物事を考え、地域の事を重んじながら実際に動かないと時代に即応した結果を得る事は出来ません。

コンテナが海の向こうから運ばれて来る度にその事を思い出しています。

スマートコンテナを支える構造体

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例えばこのコンテナは「ラーメン構造」という(剛構造)という形式で作られています。ISOコンテナとは違った構造形式です。柱と梁が溶接で十分な強度で接合されている為、柱と梁のみで強固なボックスを構成しています。当社のコンテナは基本的にはこの構造方式をとっているのです。

この構造方式をとると、窓や出入り口が好きなところに取る事が出来ます。壁を構造としてカウントしていないからなのです。このガラスのコンテナはTBSの赤坂サカスに設置されています。時には飲食店に、時には車のショーケースにと季節によってその用途が変わっています。用途が変わるたびに、システム設計されているこのスマートコンテナの場合、出入り口さえ場所を変えたりしながらその時の動線に合わせてその取り付け位置すら変更可能なのです。

稼働に加え、プラン変更なこのコンテナ、ガラス張りなので少々お値段は張ります。

スマートコンテナというジャンル

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当社では、今までにない発想で作られ、ある種の新たな世界を作ろうとしているコンテナで、「輸送」は一つのキーワードにはなっているものの、「運ぶ為のキャリア」を超えたコンテナを「スマートコンテナ」と呼んでいる。当社の場合、おおむねそれは「建築用」ではあるが、建築基準法上の「容器」の概念に属し、「建築基準法」の縛りを受けないものも含まれている。

「容器」にあたるものは、「サーバールーム」・「蓄電池収容型ハイエンド筐体」・「プラント型で非常時以外、人が入らないもの」などがそれにあたる。これらは建築基準法の縛りを受けないのでISO型コンテナでも対応が可能であるが、結局のところそれなりにISOコンテナとは違ってくるので、やはり最初からその用途用のものをデザインして製造している。

建築でありながら、平屋で小規模のもの(4号建築用)のローコストバージョンも実は今開発している。きわめてISOコンテナに酷似しているが、建築基準法37条をクリアする「主要な構造体はJIS鋼材」を使った4号建築用躯体である。そのような開発は他社にはなかなか出来ないであろう。コンテナを知り尽くし、製造環境を整え、海外に赴く事を厭わない性格と不屈のデザインマインドに包まれなければ、ここへはたどり着かない。

POP UP ARCHITECTUREというジャンル

チャールズジェンクスのコトバを借りればポップアップアーキテクチャは
「キャンプファッション」のジャンルになるかもしれない。

POP_UP_ARCHITECTUREというコトバは私どもが勝手に作ったコトバです。なぜならそんなジャンルは今まで建築の世界ではプレファブで上手に作り込んだ「マンションのモデルルーム」くらいか、「建築物」とはされていないが、エットレ・ソットサス・Jrに言わせれば「すでに建築の概念だ」といいそうな「屋台」や的屋(テキヤ)のテント店舗などしか存在しない。

コンテナは20世紀最大の発明と言われる程「物流の世界を変容させた」。起源は小さな話はいろいろあるものの、本格的なシステムとして登場したのは1950年代のマースクライン(船会社)からだと言われている。もっぱら物流の為に働いてきた「コンテナ」ではあったけど、その効率から今や世界中にコンテナ輸送のインフラは作られてしまった。

この物流インフラを躯体の物流に使わせてもらおうという発想が当社の「コンテナ型建築システム」であり、「そのコンテナの中古を改造して建築に使おう」という一般的な改造業者さん達とは別の路線で走っている訳です。

さて分かりやすく行きましょう。アルマーニA|Xの海の家。これはまさにPOP_UP_ARCHITECTUREそのものと考えていいでしょう。

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「海の家」という存在は実は長い歴史の中で「戦後の昭和時代」に権利化された「海岸での営業権」です。かつてここで営業していた方々が、いろいろな事が整備されて行く中で「国や自治体」の土地にも関わらず、ここで営業していた事実を一つの権利として認めてもらい、「夏の間だけ」の営業する権利を国や自治体が保障しているのです。

時代的には小綺麗な生活を経験してきた現代日本人にとっては、使い方そのものの変化が否応なく訪れているように見えます。今ではメジャーな海岸ではアルマーニのようなビッグネームを持った所がスポンサーにつかないと2ヶ月だけの営業期間で意味のある営業をする事は難しくなっています。

アルマーニはこの2ヶ月の間の営業でそれなりの成果は揚げました。しかもサントリーなども協賛として付くなど暑い夏は過ぎて行きました。

この時の躯体は、次のイベントに向けて保管してあります。

ホテルとしての卓越性

卓越性のあるものをデザインしようとする時、その領域はスケールの大小を大きく行き来する。数十メートル、数百メートルのスケールからミリ単位まで、そのステージ毎に考察すべき事が存在する。建築物は神の領域だとする欧州の考え方は実は正しい気もする。

PLANは考えられ、1ユニットの妻側の姿だ。これを連続して連結していくと、神が宿りしホテルが出来上がる(爆)。